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□第十一話 秋の味覚
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『暇ッスね〜』





店「そうだね〜」









ここはコンビニエンスストア
ローサン


お客が全く来ない事で有名な店
今日もお客はいない。店内には店員が2人居るだけで静まり返っている






『店長』






店「ん?」






『店内放送とかしないんですか?有線だけでも流しましょうよ』






店「ああ、いいねそれー今度やってみるよ」















会話が終わるとまた静寂につつまれる店内
棚の整理や掃除などは全て終わって暇をつぶす方法が無い









『…』














『………』












『………………』













『まっしまっしまっしまっしまっ白ーなまーまー燃ーえー尽ーきーてーいたーい!』






店「ついにバグったかと思ったよ」







『なんとなーく通りー過ーぎーたー日ーにーほえーて!』






店「現状をディストラクションしてるね」

店「真っ暗な道を駆け抜けていたいんでしょ?」





『ああ、夢中でぶつけたいんですよ』





店「今という今を生きるその為にね」






「『イエーイ』」






2人でハイタッチしたところで鈴があることに気づいた













『店長』







店「んー?」







『私ここ3日接客してないんですけど』






店「あー、そうだね〜お客さん来ないね」







『そろそろつぶれるんじゃないですか?この店』








店「寒くなってきたからね〜
みんな外に出たがらないんだよ」







そう言う店長の顔は相変わらず青白く、寒いのか着膨れしている







『季節の変わり目の影響をモロに受けてますね、店長大丈夫ですか?風邪治ったばかりでしょ』










店「大丈夫大丈夫
そろそろお客様を迎える準備をする期間に入るから休んでられないよ!」







『え、お客さん来るんすか?』







店「そうだよー?ウチのかきいれ時がやってくるよー?お客で溢れる年に数回のお祭りが目の前の通りで開かれるよー?」







『おお!やっとですか!!張り切っちゃうな〜何の祭りですか?』










店長は店の前にあるたくさんの落ち葉を指差して言った







店「ここらはこの時期になると落ち葉がいっぱいになるんだ
だからそれを集めて焼き芋祭りをするんだよ!」






『焼き芋?小学校でやったな』
















店「ここの焼き芋祭りは凄いよ?芋だけならず、キノコや魚、小籠包に靴下、メガネも焼くからね!!」






『おお!焼き芋祭りなのに!?
しかも食べ物以外も焼くんですか!スゲーや!大迷惑だ!!』









店「この地域の伝統だからね
結構人が集まるんだよ〜?

ウチはいつもお祭り会場で出店を出して、芋に口の水分もってかれたお客さんにジ
ュースを祭り特有のぼったくり価格で売りつつ、店ではトイレを提供してついでにソース物が恋しくなったお祭り客達用に焼きそばやたこ焼きを大量に棚に並べて売り上げをのばしてるんだよ」






『なんか口に出すとえげつないッスね。でもなんかワクワクしてきました!私お祭り会場行きたいです!!』











店「前のバイト君がギャグ漫画家目指して上京してからはずっと僕1人でここのトイレと焼きそば管理だったから、今年は御山ちゃんにお祭り会場の出店担当してもらおうかな!」







『よりによってギャグ漫画家を志望したその人が気になりますね…
でもやった!楽しみだー』









店「よし!それじゃあ、僕らの店も祭り実行委員会のリストに入ってるから、今から落ち葉収集作業に参加しようか!」







『今からですか!!まあ、どうせ今日は客来ねえだろうしいいか』








やる気まんまんで裏に行って制服から作業着へ早着替えした店長に慌てて鈴も着替えに走った
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