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□第四話 愛嬌さえありゃ人生なんとかなる
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ウィンッ
「いらっしゃいませー」
鈴がお目当てのコンビニに入ると、顔色のすこぶる悪いオッサンが1人レジに立っていた
『あのーすいません』
「ふぁっ!あ、あの!トイレは右奥です!」
『いえ、トイレ借りに来たんじゃないッス』
「え!!違うんですか!
一週間ぶりのお客様ですか!?」
『あーお客様でもないッスね』
「あ…そうなんですか…」
『えっと…なんかスマセン…バイト募集ってきいて来たんですけど…』
「あぁ!そっちですか!
だったら奥へどうぞ!面接しますので」
いきなり元気に奥へと誘導し出したオッサンだが、コンビニ内に店員は彼以外に見当たらない
『お店はいいんですか?』
「大丈夫ですよきっと誰も来ないし」
ーー誰も来ねぇのかよ儲かってんのか?この店心配なんだけどーー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「えぇ〜それでは面接にうつります。まあ、面接っていってもすぐ終わるし採用する気マンマンだからかたくならないでね。お名前と星座、血液型に、好きな異性の身長を教えてください」
『はい、御山鈴、星座はおうし座で血液型はO型です。好きな異性の身長は銀さんの177cmです』
好きな身長を伝えると、明らかに170未満であろう彼が少しへこんでいたが気にしない
「えっと、寮付きなのは知ってる?」
『はい。それが決め手でしたから』
「そうか…実はね…そのアパートってのは僕が管理してるんだ。親父から受け継いだものだから多少ボロ…年期が入ってるんだけどリフォームは時々してるから心配しないで」
『おかまいなく、ボロくても屋根と壁とライフライン揃ってりゃ文句ないんで』
「そう言ってもらえると助かるよ…あと、そこに住むならやってほしい事があるんだよ」
『? なんでしょう』
「僕はこの通り身体が弱くてね、ペットを飼ってるんだけど散歩に毎日決まって連れていけないんだよ。だから代わりに散歩してほしいんだ。」
『それだけですか?全然OKですよ?』
「そう?よかった〜ホントに助かるよ〜」
『あの、一つ宜しいですか?』
「うん?」
『さっき、一週間ぶりのお客様って言ってらしたと思うんですけど、………経営成り立ってるんですか?』
「ああ、普段は閑古鳥が鳴いてるんだけど、ここらは年に何回かお祭りがある時に結構賑わう所だからその時に尋常じゃないほどお客さん来るから大丈夫。それに毎週きまってウチに酢昆布買い占めにくる女の子もいるから」
『へぇ…すごいですね…』
「じゃあ、早速働いてもらいたいんだけどいつから来れる?アパートの方も早いほうがいいなぁ」
『あ、じゃあ今日からおねげぇしやす』
「え、マジで?
だったらハイ、制服とアパートの
鍵ね。アパートはこの裏にあるから後でいろいろ案内するね。よろしくー」
『よろしくお願いします!』
「あ、もう気づいてると思うけど僕以外のスタッフいないから、みんな何を思ったのか漫画家目指して上京しちゃってね、僕が店長だからそこんとこよろしく」
『よろしくお願いします!!』