うたの☆プリンスさまっ♪のお部屋
□[レ/真+音]素直でない。
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「えっ‼︎レンって苦手なものあるの⁉︎」
早乙女学園、アイドルコース男子寮。 広大な学園内の一角に一十木音也の声が響いた。
真っ赤で暖かそうな猫っ毛をフワフワと揺らしながら、こちらもまた違う意味で暖かそうな髪色を持つ神宮寺レンを少し苦笑させる勢いで問いかけている。
「そりゃ、俺にだって苦手なものくらいあるさ?そんなに驚く事じゃないよ」
「んー。レンは何でもニコニコ笑いながらこなしちゃうイメージあるんだよね〜。何が苦手なの?」
持ち前の天真爛漫さで周囲に花を飛ばしながら問いかける音也の姿を少し眩しく思いながら、そうだねぇ〜と考える。
「チョコレートとか、甘いものは進んで食べようとはしないかな。レディ達から貰った物なら喜んで頂くけどね」
「あ〜そっか! チョコか〜。あとは?」
「そうだねぇ。すぐには思いつかないよ」
そっかそっか、と繰り返ながら何かを考える音也を横目で見ながらこの質問の意図は何だろうかと頭を捻ってみるが、音也の事だ。特に何も考えていないのだろう、とすぐにこの疑問を捨てた。
「あ、でもあれだね〜!俺、 入学したばっかの時はレンはマサの事が苦手なのかと思ってた!」
「え?」
「俺が何だ」
「…え?」
少し聞き捨てならない言葉が聞こえ思わず聞き返したら、そこに話題の人、聖川真人がたまたまタイミング良く現れたもんだからもう一度戸惑いの色を出してしまった。
「あー!マサ〜!丁度良かった!
今ね、レンの苦手なものの話をしていたんだよ!レンとマサは入学したばっかの頃、仲悪いかと思ってた〜ってさ!」
少し稚拙な説明でなんとか意味を読み取った真人は「そうか」と口の端に珍しく意味深な笑みを浮かべた。
「神宮寺は俺が苦手、なのか?」
恐らく、他人には一切出さないような音を言葉に含ませながら挑戦的にこちらを見る真人の目線は鋭い。
その強そうな青色の後ろからヒョコっと好奇心の塊の赤色が目をキラキラにしながら覗く。
「赤鬼と青鬼か」なんてキャラじゃない事を考えながら、さて、この状況をどう抜けようか。と思うのだが、思いの外2人の視線が痛い。
「わかったよ。」
負けた、のポーズを取りながらの質問に答える。
「苦手…っていうかまぁ、反りが合わないなって思ってたね。」
「てことはぁ〜、今は反りが合うんだね‼︎」
「…っいや、違う、ていうか…。別に今も反りは合ってないよな?聖川。」
どこまでも2人を仲良しにしたいらしい音也から目線をずらしつつ聖川に問いかける。
俺より意地っ張りなコイツだったら否定してくれるだろう。
「ん?俺か。…いや、なんだかんだいって合っているのではないかと思う。良きライバルだ。」
してくれなかった。
ていうか、何っ⁉︎ えっえっ……!
レンはあまりの衝撃に自分らしからぬ動揺を感じていた。
ひ、ひじりかわがデレた!
聖川の言葉が頭の中で反芻していることは一応見ない振りをするとして、変に固まったこの空気はどうしよう。
音也が「うわぁ‼︎(キラキラ) なんかこういうのいいね(*^^*)」
とワンワン言っているのはこの際無視だ。
「…ど、どういうつもりだ?聖川」
「……なにが。」
「普段のお前なら確実に言わなそうな事を言っていたけど。」
「ふん。なんだ。なんだ文句あるのか。」
開き直る真人は知っているのだろか。真人は昔から恥ずかしいと首元から徐々に赤くなっていくという事、
そして現段階ではレンの知る限りで最大のオーバーヒート顔だということに。
「そんなんなるんだったらキャラじゃない事なんか言わなければいいのに」
「五月蝿い‼︎ やっぱりさっきの言葉は無しだ!撤回だ! お前は俺のライバルなんかでは無い‼︎
お前なんか…お前なんか…GOKIB○RIだぁあ‼︎」
「はぁあ? 意味わからない。おいっ!待てよ真人! ………。」