うたの☆プリンスさまっ♪のお部屋
□[蘭+嶺]眠り姫
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ーー……アイドル。それは、色々な人に幸せと希望を与える仕事デース!……
これはどこぞの歴史に残るアイドル様の受け売りだ。
幸せと希望、ね。
また立派な事で。
って言ったって俺も一応、夢と希望を与える仕事ってのについてんだけどな。ーーーー
黒崎蘭丸は、ため息を吐きながら手元の作業を終え腰を上げた。
今まで目を通していた書類を仕事用のファイルに丁寧に挟み、専属マネージャーが把握しているとは分かっているものの自らのスケジュール帳にも予定を記入する。
「my love song for you
with蘭丸AND嶺二」
読んでいた冊子の表紙に描かれているのは、新しいテレビ番組の名前。
それは色々なアーティストの曲をライブ形式で紹介していく深夜の時間帯の音楽番組だ。
その司会進行に抜擢されたのが、人気アイドルグループ、カルテッドナイトのメンバー 寿嶺二と、黒崎蘭丸である。
そう黒崎蘭丸本人もアイドルであった。
デビューしたばかりは「アイドル」として色んな所を走り回った。
最初は笑顔を創る練習さえしていた時もあったが、ある程度の知名度と人気を獲得して数年、
今は逆に「無愛想なロック人」が一つの売り文句になっている。
そんな低温度の蘭丸と長い間メンバーとしてやってきたのが、番組を共に引っ張る事になる寿嶺二。
グループの中で1番歳上にあたるものの、その言動や行動は中学生並みだ。 業界の人間の中でも珍しいという分類に入るくらい、オンとオフで性格が変わらない。
カルテッドナイトのメンバーは全員がかなり個性的であり、普通の人間が長く付き合うのは少し難しいと思われているのだが、生来の爛漫さ(?)
で上手くこなして来た。
言ってしまえば彼が1番の変人なのかもしれない。
昔馴染みに失礼な事を思いながら蘭丸は彼に電話した。