うたの☆プリンスさまっ♪のお部屋

□[音トキ]ホットコーヒー
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「良い加減にしなさい!」

「そんなに怒らないでよっ!」

もういいよ、と音也は珍しくその瞳に怒りを含ませながら静かにその場を離れた。

部屋の中にはトキヤと嶺二が残る。

音也がトキヤに怒られる事はしょっちゅうなのだが、2人が喧嘩している事は珍しい。

その喧嘩がされてる途中まで寝ていた嶺二には原因は分からなかったが、今回は普段とやり取りよりも空気が重いと言うのは理解できた。

「えーーーーーーーっと?」

いつもはどんな時でもピンと背筋を正していて、その瞳に揺るぎない光を灯しているトキヤだが、これまた珍しく嶺二から掛けられた声にビクッと身を縮こませた。

恐る恐る振り向く事もそうだが、その彼の目が弱々しい事にも驚きを感じる。


「えっとね、僕ちん寝てたから全く状況把握出来ないんだよねぇ〜…?」

「お騒がせしました。ですが、何でもありまs…」

「なわけないでしょ」


流石にそれは苦しすぎるよw、とケラケラ笑うとトキヤは居心地悪そうに肩をすくめた。

「いや、あのねぇ?可愛い後輩達が喧嘩してるってのもたまには良いとは思うんだけだどさ。
………………僕ちん、空気が重いのは苦手なのよん」

「………ハイ。」

「話を聞くだけで解決は出来ないだろうけどさ?
…………先輩命令だよん♪」

本当はただの興味だってことは言葉の裏に隠しておいた。
だが、まあ規律に厳しい彼には効果抜群だろう。


反省はしています。とトキヤは話し始めた。

喧嘩の内容はこんな事だった。

嶺二がうたた寝していた頃、トキヤはクシャミが止まらなくなった。
音也は、ひたすらクシャミをしているトキヤを心配し、部屋の暖房を付けようとした。
だが、大丈夫だからとトキヤはそれを止めた。

音也は次に布団を引っ張り出して掛けようとしたが、布団を床に引きずるなと注意された。

ならば、とホットコーヒーを用意したのだが自分の散らかした物につまづき…バシャーンッとトキヤへ…。


「………………それはそれは、ご愁傷様…」

「いえ…。コーヒーを掛けられた事は流石に…あれですが。
音也は自分を心配してくれていた行為だということは理解しています」

「じゃあ、どしてあんなに怒っちゃったのん?」

本人は分かっているのだろうか。トキヤがどんどんと凹んでいく様が少し面白い。

「…こんなに何も考えずおっちょこちょいだと、どんなに良いことをしても勿体無いんです。

ちゃんと物事は考えて行動してほしくて。

そう思ったら、つい。」


「うん。それで言いすぎちゃったのねぇ〜…。

……ぷはっ!あはははは!」

いきなり笑い出した嶺二を怪訝な目で見るトキヤ。

いつもは凄く聡い君も流石に自分の事は把握しきれないんだねぇ♪


眠りの国から徐々に覚醒していた時から、2人の言い合いのある部分が引っかかっていた事を思い出した。


…『コーヒー掛けちゃったのはゴメンって言ってるじゃん!』

『ゴメンで済みません!
いいですか?優しさでしてくれた事は分かります。ですが、これを何処かの女性にしてみなさい。火傷させてしまうし、嫌われますよ!』

『ちょっと待ってよ!何でそこで何処かの女性がでてくるの?今は関係無いじゃん!』

『ありますよ!』

『俺は、俺は! トキヤが心配だったから!トキヤ、いつも頑張りすぎちゃう所あるから、体調崩しちゃったのかなって 凄く心配したの!

俺は、トキヤが大事だから!
だから、喜んでくれそうな事を必死に考えたのに!』

『私も君が大事なんです!こんなに優しい君が、ちょっとしたことで失敗しないか心配なんですよ』


………………

「ほっんとトッキーとおとやんは仲が良いねっ♪」

「…はい?」

「ホラホラっ☆ 事情は分かったけどさ〜、ここは何も言わずに謝りにいくのが一番なんじゃ無いの〜?」


「はい。有難うございます。行って来ます。」


トキヤは、行って来るの言葉を最後まで言い終わらないうちに部屋を飛び出す。



本当にさ〜、仲いいよね〜☆
喧嘩しながらいちゃついてるって絶対自覚無いよねwww

もう!れいちゃん羨ましぃ〜い〜♪



どうか、永遠に幸せにどうぞ。



おわり
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