銀高
□初恋愛
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最近、銀髪のやる気のなさそうな男が妙に目に入る。
「「恋?/ですかい?」」
「………恋ってなんだ?」
銀魂高校の屋上では、サボり魔トリオの沖田、神威、高杉(神威は夜兎高校)が集って購買で買い占めたパンを咀嚼していた。
そこに突如、高杉が冒頭の言葉を紡いだのだ。
「恋がわからないんですかい?」
「人を好きになるとこじゃないの?」
「好きになるってどんななんだ?」
「そこから?」
なんだよ、と少し目を鋭くする高杉。
彼はこの高校1の、この地域1の不良だ。
カリスマ性とその中性的な容姿に惹きつけられる者に男女問わずモテるモテる。
だが、当の本人は他人を好きになったことはないし、ドのつく不良のクセに素晴らしくピュアなのだ。
「もし恋だとしてもよ、男が男にするもんなのか?」
「んー…することもあるんじゃない?」
「そうですねぃ」
うーん、とうなる高杉。
「…特に感情は湧いてねぇんだ。
ただ、何気ないときに目の端に写ってる」
「だから、意識してんだろ?」
「ちげーよ…あ、ほら……」
そういって格子から一つの教室の窓を指差すと、そこには銀八が去っていく姿が見えた。
「あれ?あそこって美術室じゃないの?」
「あー…そうですねぃ。てか、なんでアンタ知ってんですかぃ?」
「ん?(^^)」
言わないよ、とでも言うような笑顔を沖田に向ける神威。
「……普通に目の端に写るならいいんだけどよ…いっつも後ろ姿かさっきみてぇにどっか行こうとしてんだぜ?なんかおかしくねぇか?」
「横顔とかもなし?」
「おう…」
うーん…と3人で考える素振りをする。
「ちょっとおかしいねぇ…」
「さっきも銀八がなんで美術室なんかにいたのかっていうのもおかしいねぃ…」
「しかも、最近はウチの近くのコンビニにいるのも見たし…やっぱり後ろ姿だったけど……」
顔を青ざめさせる高杉。
沖田と神威も考えを続けてみるが、銀八と高杉に接点はない。
ただの担任と生徒の関係だけで、サボり魔の高杉は未だに銀八とは面と向かって話したこともない。
「シンスケの家に泊まりに行っていい?」
「は?ンでだよ」
「なんだか心配になってきた」
「そーですかぃ?高杉さんはアンタが認めちまうほど強ぇですし、銀八がそこまでイカれた野郎だとは思わねぇし」
「もしかして、ってこともあるかもよ?」
「…もしかしてってなんだ?」
沖田と神威のイメージは一致しているようだが、どうやら高杉には伝わらないようで頭にハテナを浮かべている。
「もしかして、銀八センセイはサボり魔のシンスケが自分の担任のクラスにいることで職員室で圧力をかけられて、シンスケのことを疎ましく思って、消そうとしてるとか?」
「なんだよ、それ…どこぞのサイコティーチャーかよ……」
「もしかして、銀八は高杉さんに惹かれててストーカーや盗撮をして、そろそろ襲おうと考えているとか…」
「ん、んー…無いだろうと思うけど、前例がいるからな…」
トラウマを思い出すような表情になる高杉。
何故なら、半年前にとある他学校の女子高生にストーカーをされ、しかも重度の妄想癖を持つ子に、ナイフで刺されかけたのだ。
もちろんそんな女子高生如きのナイフなど避けれたし、その時は丁度また子と一緒にいたから丸く(?)収まったが…
「だから、心配なんだよ。俺は純粋に」
「俺が自分以外の奴に殺られるのが、だろ?」
「それもあるけど、こんなイイ遊び相手なんて中々いないしネ」
「神威にとっては初めてのお友達ですからねぃ(クスクス」
「………(ナンカムカツクケドガマン」
「サイコティーチャーがホモティーチャーか……」