銀高
□黒猫保護
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「ご飯ですよー」
夕方になって、餌の入った俺専用の皿を持ちながら主人が呼ぶ。
もう片手には俺がガキの頃使っていた皿がある。
中身を見るとほぼ液状にされた餌とスプーンが入っていた。
俺の前に皿を置いて、そのすぐ側で主人が晋助を抱っこしてゆっくりと液状の餌をスプーンですくって食べさせている。
抵抗もせずちびちびと食べる晋助。
俺は自分の餌を食いながらその様子を観察していた。
『ケホッカハッ…』
「おやおや…」
気管に入ってしまったのか噎せる晋助の背中を主人が摩ってやる。
俺も心配になって近づいてみると、俺の気配に気付いたのかビクッと体を震わせた。
『おい…大丈夫かよ?』
一応、声をかけてみるものの苦しいのか返事はなくずっと噎せている。
『カハッケホッケホッ…ング……』
落ち着いたのか咳をやめ、ピチャピチャと口を動かす晋助。
「大丈夫みたいですね…少し待っててくだい。お水を持ってきましょう」
そう言うと主人はそっと晋助を床に下ろして台所に向かっていった。
『大丈夫か?』
『…ん……変な飲み方しちまっただけだ…』
再度声をかえると今度は返事が返ってきた。
ホッとしながらも、綺麗な声だなぁと聞き惚れた。
『もう大丈夫だ…ありがとよ』
力ない目で俺を見上げてから、すぐに視線を下げる。まるで辛いのを我慢するかのように…
『…俺はなんもしてねぇよ』
口の回りについていた汚れを舐めとってやり、主人が器に水を入れて持ってきたのを確認してから自分の餌のもとへ戻った。
*〜