銀高

□trick or treat
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「……ほんとになんの用だよ…」

「ごめんって」

機嫌が直るまで牙はポケットにしまっておこう…

「今まで寝てたの?」

「お前に起こされた…」

「悪かったって……」

ソファにうなだれる晋助の横に座ってそぉーっと頭を撫でる。猫みてぇに引っ掻かれるかと思いきや、目を細めて心地よさそうにしている。

うぅ……可愛い…

撫でながら手櫛で寝癖を治してやる。

「ふあ……」

これまた可愛らしい欠伸…

「晋ちゃん、大丈夫?」

「んん…」

こくりと頷く。
大分表情も和らいだからもういいかな、と牙を装着し、晋助の肩を掴んでこっちを向かせる。

「っ、んだよ…」

「trick or treat!」

「え…?」

満面の笑みでいうとばっとカレンダーを確認する晋助。

「あれ…?明日じゃねぇのか……?」

「いーえ、今日です!trick or treat!!」

「嘘だろ…」

オロオロしだす晋助。

聞けば、俺がハロウィンに乗っかって何かしでかすであろうと予想して前日の下校時にお菓子を山ほど買い込むつもりだったらしい。が、ちょっぴりお馬鹿な晋ちゃんは1日間違えていたのだ。
つまり、今日の下校時に買うつもりだったらしい。

「で?お菓子は?」

「っ……」

ウキウキしながら聞くとぎこちなく目を逸らす。

「…ないの?」

だったら…と晋助に迫ろうとすると待てっ!と言われ急いで台所に走って行った。

「っ、あれ?」

ガサガサとあちこちを漁るもお菓子らしきものは何も出てこない。

「しーんちゃ〜ん?」

「どっかにあったはずなんだっ」

「でも、ないんでしょ?」

だって、晋ちゃんの家にあったお菓子は俺が昨日遊びに来た時にぜーんぶ食っちまったからな。

「い、1日くらい待てよ!」

「ダメー」

「だってよぉ…今日買いに行くつもりだったんだからよぉ……」

可愛く俯いてTシャツの袖をきゅっと掴みながら言う晋助。

「でも、ダーメ。銀さん待ってらんない」

「っ……」

そっと近付いて抱きしめながら耳元で囁くと小さく体を揺らす。

あぁ、晋ちゃんいい匂い…今の俺が吸血鬼だからかな?首筋からいい匂いがいっぱいする。

「お菓子がないから悪戯だね?
…まぁ、俺にとっては晋助も甘いお菓子だけど」

「っい!!??」

首元に噛み付くと痛みを堪えようと俺にしがみついてくる。

これは一応マーキング。虫除けのためのね?

「ぎ、とき…いてぇ……」

「好きでしょ?痛いの」

「っ……てか、てめぇ何つけてやがる…?」

「ん?牙だよ、牙。吸血鬼の」

一旦口を離してペロペロと二つの穴から溢れ出る液体を舐めながら答える。

「んぅっ…やっぱりか……」

「やっぱりって?」

「やっぱり、てめぇの考えそうなことだ」

クスクスと笑う晋助。

「ん、てことで、夜まで寝床のお供でもしてもらおうかね…♪」

「はあ!?っざけんな、腐れ天パ!学校は…」

「行ってもどうせサボるでしょ?」

「っ……」

不服そうな晋助を抱き上げて彼の寝室まで移動する。
晋助は顔を俯かせているものの顔は真っ赤。

お菓子の代わりにたくさん堪能させてもらおう。



fin.

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