銀高
□接吻
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「なぁ、ヅラ…」
「ヅラじゃない、桂だ…なんだ、晋助?」
「あいつ、すげぇ寝癖だな…」
「あれは寝癖ではなく天然パーマというくせ毛だ」
きっと、と後に付け足すヅラ。
「……ふわふわかな…」
「…ふわふわだろうな」
何気なくヅラと二人で天パ野郎を見つめる。
ふと、天パ野郎がこっちを向いた。
死んだ目で興味無さそうにこっちを見てくる。
「あいさつくらいしに行くか…」
今日、塾に来たばかりのあいつは、あんな目をしているせいか他の生徒に構われていなかった。
自分からもあいさつすることなく、ずっとダンマリだ。
俺はヅラが行くのならと、一緒に天パ野郎の傍に行った。
「坂田銀時といったか? 俺はここの塾生の桂小太郎だ。こっちは、俺の友であり、同じ塾生の…」
「高杉晋助だ…自己紹介くらい、自分でできる」
ヅラは何かと俺のことを構う。
まるで親のように、兄弟のように。
お節介の世話焼きだ……
「坂田銀時……」
それだけ言って、また興味の無いように外を眺める。
「……!」
それから、俺たち3人はよく遊ぶようになった。
先生の家に住んでいる銀時に、ヅラと二人で遊びに行ったり、先生と四人で野外学習もといピクニックに行ったり。
俺もだけど、銀時が一番先生にべっとりだった。
そんなところを見ていると、何か心にモヤがかかった気分になった。
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