銀高
□家族
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「んッ…///」
3ヶ月ぶりに訪れた万事屋。
万年敷かれている布団の上で最初の絶頂をお互いに迎えると、銀時は珍しく俺の中からモノを抜いた。
9月9日、絶対に帰ってこいと、凄まじい剣幕で言われ、わざわざ仕事を切り上げて来て今に至る。
「ッ、!…ぎ、とき……?//」
突如、変な不安に駆られる。
と、同時に嫌な予感もする。
「ねぇ、晋ちゃん。コレ、使っていい?」
「?」
コレ、とは何か…
それは一粒の錠剤だった。
「そりゃァ…媚薬か何かか……?」
「んーん。媚薬の効果はないんだけど…特殊な薬」
ニコニコと話をする銀時。
…嫌な予感の方が当たったか……
「じゃあ、なんの薬だ? もったいぶらずに言えや」
「…ついさっきまで俺の下でアンアン言ってた奴とは思えないよねー」
「っ、黙れクソ天パァッ//」
錠剤を掌で遊ぶ銀時に、余韻のせいで起きることができないので枕を投げたが軽々と避けられた。
「チッ…」
「怒んなよ」
「ッ///」
枕を投げた腕を掴まれて頬に優しくキスをされる。
俺がこのキスに弱いことを、こいつは知っている。
「…で?なんの薬だよ?//」
「不貞腐れてる所も可愛いー」
「てめぇッ!//」
「この薬はね、」
隣に寝転んだ天パを本気で殴ってやろうかと思ったら、真剣な顔をして片腕で抱き寄せられた。
錠剤を俺によく見せながら、期待に満ちたような、悲しいような顔で話し出す。
「この薬はね、男でも子供が産めるようになる薬なんだ」
「……………………(パシッ」
「あ゛ああぁぁぁぁあっ!?」
理解し難く、そして理解できない為、取り敢えず錠剤を布団の外に叩き出しとく。
「ちょっとぉぉぉお!コレ滅多に手に入んないだよ!?」
「お前の考えてることがわからなくてよ…ん?媚薬じゃねぇのか?じゃあ、なんでこんな時にンなもん出すんだよ?気持ち良くねぇだろ?」
「前に言ったじゃん!俺たちにも子供ができたらいいねーって!!晋ちゃん、もしできたら結婚してくれるって約束したじゃん!!!」
「知るかよ、おめぇそれはヤッた後の朦朧としてる時に一方的にしたんだろ?」
「そ、だけど…約束したもん!」
「だとしても、俺は一応男であることにプライドがあんだ。それを捨てるなんざ流石に…」
「女の体にはなんないから大丈夫だよ?」
「……は?」
俺の警戒が一瞬薄れた隙を突いていそいそと俺の傍に戻ってくる銀時。
「これを飲むと一時的に子供を作れる器官、子宮に似たやつが体内にできるだけで外見に問題はないの。しかも、低い可能性で妊娠すんの」
「…低い可能性?」
「男でも子供が産めるーなんて簡単な事じゃねぇだろ?だから、そんくらいのことは、ねぇ?」
「ふーん…」
銀時との間に 子供が欲しい、なんて考えた事がない。
俺はこのまま、銀時と二人で充分だと思うし、神楽とメガネが俺たちの子供ようなものだし。
「興味ねぇな」
「……俺さ、晋助と家族になりてぇんだよ…」
「……」
あぁ、そうか…
こいつには家族と言える人が先生しか居なかった。
だから、家族が欲しいのか…
「、晋ちゃん…?」
何故だか胸が締めつけられて、こいつのことがとてつもなく愛おしくなって、額にキスをしてやると驚いた顔をする銀時。