銀高

□嫉妬
1ページ/1ページ


「ヅラァ、寒ぃ…」

「ヅラじゃない桂だ。まったく…夕方は寒くなるから羽織でも持って来いと言っただろう?」

寒そうに両腕をさすりながら近寄る晋助の頭を撫でるヅラ。

もやもやしてイライラする…

晋助は俺のなのに……

「……(ムッスゥ」

「どうしたのだ、銀時?」

「べっつにぃ」

口では否定しながらも二人を見続ける。

気付けよ、晋助…

「っくしゅ!」

可愛らしいくしゃみする晋助。

マジで可愛いんだけど…

「大丈夫〜?晋ちゃん?」

「晋ちゃん言うな…大丈夫だ」

そう言いながらズズッと鼻を啜る。

「まったく…」

そんな晋助を見かねたのか、ヅラは自分の羽織を脱いで晋助の肩にかけてやる。
晋助はありがと、と気恥ずかしそうに言いながらあったまってる。

「チッ…」

あいにく、俺も晋助同様羽織なんて持って来ていない。
寺子屋を出る時はあんなにあったかかったから、日が陰ってきた途端寒くなるとは思わなかった。

俺にとっては少し肌寒いくらいだけど、軟弱な晋助の体にはこたえるみてぇだ。
でも、今の俺には温めてやる術はない。

「ヅラ…お前は寒くねぇのか?」

「ん?まぁ、これくらい平気だ」

また晋助の頭を撫でるヅラ。

「ほんとか?」

「あぁ、案ずるな」

イチャつきだす二人…

ふざけんなよ

「しーんーちゃん」

わざと二人の間に割って入る。

「なんだよ、銀時?」

「俺も寒いなぁ」

「お前にはこれがあるだろ?」

クスリと笑いながら俺の天パを撫でる晋助。

「天パ馬鹿にすんなよ、こら」

「してねぇよ。もふもふであったかそうだ…」

「んー、まぁ寒くはないけどね?銀さん寂しいなぁ…」

そっと晋助の手を握り、すり寄ってみる。

「くすぐってぇよ、ばか」

クスクスとくすぐったそうにしながらも手を握り返してくれる。

けど…

(わかってねぇな、こいつ…)

小さく溜め息をついてから晋助の耳に口を寄せる。

「なんで俺の事放置すんの?晋助は俺のでしょ?」

「っ……//」

囁いてやると薄く頬を染める。
あぁ、可愛い…いじめてやりたい…

「まぁいいけど…」

「……?」

「二人っきりになった時…覚えてろよ?」

「っや、やだっ//」

「晋助が悪いからですー」

晋助だけが悪い訳じゃない。
自分の事だけ考えてた俺も悪い。

今度からは晋助の為にも気を付けねぇと。
晋助の事、護ってやるんだ…

でも、晋助もちょっとは気付いてよ?
晋助は俺のなんだ…誰にも渡さない。

fin

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ