黒子のバスケ

□15年ネチネチ パロ
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あれ、俺誰…だっけ?
自分の家ではないと目が覚めてすぐに分かったのは真っ白い天井に薬品の匂いがしたからだった。
そう、病院だった。
でもなんで病院にいるのかが分からないし一番大事な自分の事が分からない

その内マネージャー?が来て医者を呼んだ。
待っている間にマネージャーと名乗る人に話を聞いてみたら、どうやら俺は『黄瀬 涼太』
モデルをやっているらしい

まあいきなりそんな事言われても分からないし。
仕事はしばらく休む事になった
目が覚めたのが早かったおかげで、検査を軽くしただけで退院が決まった
―――忘れてはいけない何かがあったような気がしていたのでありがたかったが―――

とりあえず自宅に帰って何かないかとアルバムを見ていた

ポタッ
「…え?」
……なんで俺泣いてんだろ。

その時は理由が分からなくて閉じたが何回見ても同じページで泣いてしまう。

そのページは―バスケ部。
よっぽど大切な思い出だったのか と思ったが、どうやらそうではなかった。

確かにバスケ部の思い出も大切だったのだが
個人で映るある1人を見ると胸は苦しいしでも嬉しくもあって。
その人が好き と気付いたのは記憶を無くしてから1ヶ月後だった。

それからなんとかして連絡がとれないかと思ってメールを毎日送った。
返事はいつもない。
でも好きで仕方がなかったから送り続けた。



5年経っても記憶は戻らなかった。
毎日が怖くて不安で。
君を一目見たかった。
君に一言言いたかった。


翌年、俺は記憶を取り戻した。
全部思い出した。
思い出してしまった。
   君が死んだ事を



「俺、黒子っちの事やっぱ好きみたいっス!」
今話しかけているのは
『黒子家之墓』と記された彼が眠る場所。

前に…黒子が生きていた頃にしていた、例え話を思い出す。

―「俺記憶がなくなっても黒子っちの事大好きっスよ!!」
「記憶が無いのに好きって…もはや呪いじゃないですか」
「呪いじゃなくて愛っスよ〜!!」―



「あの時の言葉…本当だったでしょ?」


小さな、本当に小さな日常の中の例え話だったのに…


まるで予言だと笑う



―「…じゃあ、僕は君が忘れてしまってもいつも隣にいますね」―


その言葉は叶わなかったけど…


『君が気付いていないだけでいつだって隣にいますよ、黄瀬君』

ハッとして隣を見ると一瞬だけ。
彼が見えた気がした。

「…うん」



君が隣にいるなら俺はいつだって笑える。
ずっと、ずっと愛し続ける。
だから君にまた会えるその日まで

「……黒子っち…今…いくね………」


待っていて。
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