*文芸部*

□ひそかな思い
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『あの旅が好きな人とまた一緒に旅がしたい。』
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こう思ったのは何回目だろうか。
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ーひそかな思いー
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僕の名前は河合曽良(かわいそうりょう)
俳句好きのごく普通の高校生だった。
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僕が前世の記憶を思い出したのは中学3年生の時。
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まさか僕の前世があの俳句で有名な松尾芭蕉の弟子の河合曽良だとは思いもしなかった。
名前が一緒なのは嬉しかったが。
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それはさておき松尾芭蕉とはどんな人物なのかと胸をふくらませながら見た夢は絶望する物ばかりであった。
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ある日は足が疲れたと言って早めに旅を切り上げ、
ある日は俳句の神様がどうのこうの言い、.
…とにかく僕の前世をいらだたせる物ばかりであった。
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甘いものを食べたら良い句が出来ると言われ、しぶしぶ買ったものの
結局良い句が聞けなかった僕の気持ちも考えてみろあのくそじじい
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しかしたまに聞かせてくれるとてつもなく良い句と
いつも見せている優しい笑顔に
虜になっていたのは事実だ。
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だから僕はあの人と一緒に旅をしていたのだと思う。
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そしてその思いは今でも変わらない。
芭蕉さんの生まれ変わりがいるのならば僕はまたあの人と一緒に旅をしたいと願うのだった。
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ーfinー

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