【空へ】

□tragedy to hollow 〜another story
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中学3年の1学期始業式。


教室に竜くんが見当たらない。




式の前のホームルームは担任の桜井先生ではなく、副担任の先生が教壇に立っていた。

先生の声がぼやけて聞こえた。



先生は竜くんが教室に居ない理由を話していた。






ウソ……












竜くんが死んだことを意味する先生の話が終わるか終わらない頃には、私は迷うことなくトウヤくんの居る教室へ走っていた。


トウヤくんとなら笑って「違うっすね」って、悲しいことなんか起こらないから!

私は心の中でそう叫んでいた。



トウヤくんも一緒に走ってくれた。

初めて繋いだ手は力強くて、悲しくて、痛かった。







現実はあまりに残酷すぎて、私は夢を見ているんだと思った。



でも、トウヤくんが悲しい顔をしているから…



好きな人に初めて抱きしめられたのが、こんな悲しい日なんて。







私が「3人で居たい」なんて言わなければ違った未来があったかもしれない。

竜くんは今も同じ教室で、体育館で、笑っていたかもしれない。




私はその日から毎日そんなことを思うようになっていた。
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