【空へ】
□stay low
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一生会えなくなったわけじゃない。
そんなことは頭ではよくわかっていたが、どうしても心が追い付かない。
全校集会、2年棟、俺は彼女が居そうな方角にやたら目を向けるようになった。
地区予選三日前、俺は1年で唯一ユニフォームをもらった。
それなりに責任あるし今は集中しなきゃ、と思っても、常に彼女のことでいっぱいになってしまう。
幸か不幸か、そんなだから部内で嫌味な態度を取られても、あまり気にならず、むしろ聞こえていない事のほうが多くなった気がする。
「吹奏楽部がさあ、一緒に試合来るんだよ」
二時間目休み、いつもつるんでいる野球部のヤツが、突然そんな話を始めた。
「でさ、最近練習も一緒のことがあってさぁ」
「あー、そうか、野球っちゃー、テーテーテテテーテ♪だもんなあ!」
別のヤツが口を挟んだ。
言わんとすることはよくわかる。
「野球の応援といえば吹奏楽ってことだろ?」
また別のインテリ風なヤツが喋る。
しかし俺はさっきから出ている“吹奏楽”というキーワードに動揺を隠せない。
「ミニミニスカートのチアリーダー様も大事よん♪あはん♪」
動揺を悟られまいと、いつも通り全力でおどける俺。
「うおー大切!でも、うちのガッコ、チアリーダー居なくね?」
「そそ、居ねえんだよ、でもさ、そのかわり超絶カワイイ人が居てさあ!」
俺はちょっと嫌な予感がした。
「2年の十津川さんって言ってな」
ほら、やっぱり美絃さんのことだ。
「俺、友達になってもらった!」
なんだと!!!?