【空へ】
□tragedy
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関東地区の選抜メンバーを集めた合同練習が行われる。
オールスター戦後すぐ、俺もそこへ参加するよう告げられた。
各都県5名程度ずつの参加なので残念ながら竜先輩は選考から漏れてしまった。
チームがもっと勝ち進んでいたらと思わずにはいられない。
春休みも最後の1日となった晴れの日、午前部活だった俺と竜先輩は同じく吹奏楽の練習が午前で終わった美絃さんを誘い、新宿へ遊びに行くことにした。
オールスターの合同練習のことを考えたら、少しでも体力作りをしたほうが良かったのだろうが“明日から学校"というキーワードが俺を外の世界へと誘惑したのだ。
新宿を提案したのは美絃さんだ。
てっきり買い物かと思いきや
「私ね、新宿御苑に行きたいな」
中学生の女の子にしては渋い選択だった。
「なんでまた御苑なんすか?」
俺の素朴な疑問に美絃さんは目を輝かせて答えてくれた。
「私ね、見つけちゃったの!」
「ん?」
「何をすか?」
「空が広く見える場所!」