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06/09(Tue) 03:26
龍兎

なんか載せるかもしれんし載せんかもしれんから作っとこ()
PC

06/10(Wed) 04:54
時雨と仁介
龍兎

 ──本当に愛していた。
あの長い髪も、華奢な四肢も、自分だけに見せてくれた切れ長の瞳も。彼と子供たちと幸せでいられると思っていた。

「……仁介」

 ピアノの前でコーヒーを飲みながら、ふと男の顔を思い出した。別れを告げてから一ヶ月ぐらいたった気もする。それから自分の言った通り、この家に来ることは無くなり、身体を消費することも無くなった。あるのは時が止まった日記のみ。
 どうしてこうなってしまうんだろうか。何を間違えたのだろうか。最初から何も疑わずに愛し合っていれば、彼は変わらなかったのだろうか。……今はもう、何を後悔したって無駄なのに。

 出会った頃を思い出せば、なんだか懐かしくて目を閉じた。あれは、いつの冬だったか。
PC

06/10(Wed) 07:06
時雨と仁介2
龍兎

 からん。

 しまった、と目を開いた。コンビニなんかで大事な指揮棒を落としてしまった。いつも落としたことは無かったのに、今日は疲れていたのか装飾に引っかけて胸ポケットから出てきてしまったらしい。深く溜息をつきながら指揮棒の転がった小汚い床に手を伸ばした。……が、落ちたはずのそれがない。おかしいな、と後ろを振り返ると、目の前にはきのこ頭の男が立っていた。

「あ……ど、どうぞ」

 差し出された手にはきらきらと輝く指揮棒、もとい命の次に大事な「杖」があった。俺は思わず奪い取るように片手で掴み、すぐに胸ポケットへ戻した。

「ああ、悪いな。どうもありがとう」

 呆然と立ち尽くす男の横を通り過ぎ、さっさと店を出た。恥ずかしくて逃げたのもあるが、それ以上に人間に触れられたのに腹が立ったのだ。自分が悪いのは分かっているが、俺は人間とは極力関わりたくない。
 正直に言うと、人間が怖かった。魔界の者より脆弱で愚かなあの種族は、いとも簡単に死んでしまいそうで、仕事や生活以外で近づきたくないのだ。あの時のような大きな発狂じゃ、きっと種の存続も難しくなるだろうから。
 ラミには悪いが、おでんは明日に延長だ。今夜は適当に作ってもらおう。


 翌朝、昨日のコンビニの前を通ると、そこにはあのきのこ頭がいた。
PC

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