長編(交際編1)

□ROSE
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(エリックside)

ヘソンの帰りを待っていたとき
少し肌寒いから何か羽織ろうと思って
ヘソンのクローゼットに入った

服を探していたら
引き出しの奥にキレイな細長い箱が入っていた

何だろう?
箱を開けると
ドライフラワーのバラが1本と
少し色褪せたブルーのリボンが入っていた

あの時のバラだ

若いから金なんてないのに
大好きなヘソンを喜ばせたくて
ヘソンの20歳の誕生日に
背伸びして買った100本のバラ

枯れてしまっているバラから
あの日のむせかえるような香りと
俺の不器用なヘソンへの想いが
鮮やかに蘇った

ヘソンはあの日のバラを
ずっと残しておいてくれてたんだ・・
何度か引っ越したときも
俺が女と付き合っていたときも・・

俺の想いを捨てずに
ずっと持っていてくれてたことが
泣きたくなるほど嬉しかった

ヘソンを幸せにしたい
心からそう思った

俺が見たことがバレないように
箱を戻したとき
玄関のドアを開ける音がした
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