長編(告白編)

□CAKE
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(ヘソンside)

エリックとマンションの上下に暮らしていた頃
エリックは彼女と誕生日を過ごすとわかっていたけど
たとえ一緒に過ごせなくても誕生日を祝いたかった僕は
お店で1番小さなバースデーケーキと
最高級のシャンパンを買ってきた

明かりのついていないエリックの部屋を見ながら家に戻った僕は
シャンパングラスを2つ並べて
飲む人のいないグラスにもシャンパンを注いだ

誕生日おめでとうエリック

さすがにロウソクは点けなかったけど
1人で食べるから切り分けることもしなかったケーキを
フォークで取ってシャンパンと一緒に口に入れた

何やってんだろ僕・・

彼女と幸せな誕生日を過ごしている男性を愛して
告白することも諦めることもできずに
こうして泣いている自分が
情けなくてすごく悲しかった

ヤケになっても3分の1しか食べきれなかったケーキと
あっという間に空になってしまったシャンパンのボトルの横で
僕は眠くなっていった

あぁ明日は二日酔いで
頭痛いだろうな

でも1日中寝てれば
幸せそうなエリックに会うことはない
キリキリと苦しい胸の痛みに比べたら
二日酔いのほうがマシかもしれない

甘いはずなのに苦いシャンパンの
最後の一口を飲み干して
僕はソファーに倒れ込んだ

どんなに苦しくてもいいから
エリックに会いたいと思いながら・・
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