壁の外、あなたと共に。
□とある夜の話
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「ぁ、れ…?」
パチリ、目が覚めると医務室の天井が目に飛び込んでくる。
真っ暗な部屋には窓から差し込むつきの光だけが頼りだ。
起き上がり、回りを見渡せば。
「スー……スー……」
こっくり、こっくり、と船をこいでいる同期のソフィアがいた。
ミカサと同じ東洋人で、真っ白な肌に対照的な真っ黒い髪。たしか、純血だっけ?
ブラウンの瞳は閉じられていて、月明かりが照らし出した白い素肌にはたくさんの傷。
頬に瞬く傷跡を包み込むように右手を滑らす。
「ん…ぅ…」
起きないことをいいことにそのまま唇を重ねる。
(う、わ…僕なんてことを…!)
「ん…?」
「風邪、ひくよ…?」
少し上ずった声をあげながら言えば重たげに瞼を開けたソフィア。
「おいで」
「ん…」
幼子のような反応をしながら狭いベッドに招き入れる。
小柄な彼女は、すっぽりと僕の胸に収まると、上目に
「怪我、痛む…?大、丈夫……?」
「大丈夫……だよ」
優しく問いかけ、返答すればへにゃりと笑って瞳を閉じた。
おやすみ、と髪に口づけて僕もまた瞳を閉じた。