壁の外、あなたと共に。
□疑問。
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どうして、人は生きるのだろう。
この大きな世界で自由を謳歌する事を忘れ、この小さな壁のなかで平和を歌っている。
自由を知らず、世界を知らず、敵を知らず…―。
それが、当たり前となった今では。
自由を求め、世界に手を伸ばし、敵を探ろうとする行為さえタブーとなった。
家畜のように用意された壁のなかでのうのうと暮らす。
もう一度、問いかけよう。
我々人類は、なぜ、生きるのか。
目標もなく、……否。
持つべき目標を掲げることをタブーとし。
ただ在り来たりで平凡な人生をただ歩む。
愛だの恋だの言って子孫を残し、虚偽の繁栄を願う。
まだ薄暗い部屋、少し固いマットレスが敷かれたベッドのすみで、支柱に頭を預けて膝を抱える。
らちがあかない。
大体、この私がこんな深く考え事をするなんて性に合わないし。なによりこんがらがって頭がパンクしてしまう。
コーヒーでも飲んで気分転換でもしようと、ソッと部屋から抜けだし食堂へ水分を摂取するために廊下を歩き出す。
(灯りがついてる…)
誰かいるのかな、と食堂を覗くと見慣れた金髪が目に入り、空のような瞳が私をとらえた。
「あれ?##name1## どうしたの?」
こんな時間に…、と続けるアルミンはどうやら今までホットミルクを飲みながら読書をしていたようだ。手元の分厚い本を見やってからまた空色の瞳を見た。
「目が覚めちゃってさ」
「そうなんだ」
「二人だけで話すの、久しぶりな気がするね」
「……そうだね、たしかに」
私は手慣れたようにコーヒーを淹れて、向かい側に座る。
「あのさ」
唐突に思ったの。
あなたの考えを聞きたいって。
「人類は、なぜ…なんのために生きているの思う?
……アルミンは、なにを夢見て生きてる?」
(あなたの言葉ならきっと私は無条件で納得できる)