壁の外、あなたと共に。

□これほどまでに儚い。
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自室に設置された机で立体機動装置の整備をしている手を止めて、窓の外を見た。


明日はもう何度目になるかわからない壁外調査へと出る日だ。


はぁ、とため息をこぼしてまた作業を再開したころ。


コンコン、とノックがして返事を聞かずに入って来る。


そんな人、あの人しか居ないのだけれど。


「どうしたのですか兵長」


「明日は壁外調査だ」


「わかってますよ」


いつものしかめっ面で当たり前のことを言う兵長は、さらに眉間に皺を寄せた。


「お前は俺のそばにいろ」


「心配せずとも簡単には死にませんよ」


「…チッ、察しろ鈍感が」


ギロリ、その視線で人を射殺せるのではというほどの眼力で私を睨むも、とうに慣れた私はまだ気を引き締めたまま。


「壁外に私情を持ち込むのは危険です。

いつなにがあるかわからない、いつ死ぬかもわからない、それが当たり前。

兵長もわかっていらっしゃるでしょう?」


投げ掛けるように言って視線を手元に戻すと、グシャリと乱暴に頭を撫でられ髪が乱れた。


「なら、生きて帰って来い」


俺の元にな。と最後に付け足して、コツコツと足音を鳴らしながら部屋を出ていった。


上司命令が出たからには、無傷は無理でも自分の足で立って、兵長の元へ行かないとな、なんて。


緩む頬が、私の素直な心情を表しているようで。


「浮かれてちゃ死ぬぞ私」


パンパン、と両手で頬を叩いて気を引き締め直した。

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