狼さんと私。
□狼さんと想い。
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呪文学の授業が始まる前のこと。
今日は珍しくスリザリンとの合同授業で、私は自然と彼を探していた。
そして少し離れたところに見つけた。今日も彼は一人。
「***、席あいてる!」
「あっ、ちょっと待ってって!」
一瞬目があって手を振ろうとしたものの、友人にローブを引っ張られて出来なかった。
「もー、リーマスに手触なかったじゃん」
「え?リーマスってあの?!」
そういえば、こいつはあまり人狼が好きじゃなかった。と話してることを迂闊に思いながら頷いた。
「……やめておきな」
ほら、彼は顔を歪めながらそういった。
「ルーピン、何回かスリザリン生に大怪我させたって。危険だ。
それに……人狼なんだからさ」
あぁ、これが。この目が。
忌み嫌われる存在であることは知っていた。
「それでも、同じ人間だよ。リーマスはそんな酷い人じゃない、きっとなにか事情があったに決まってる!」
だけど。
「***はマグルだから、人狼がどれくらい危険な存在か知らないんだ。
リーマスは人狼であって、人じゃない」
人間性すら否定することなんて、ないじゃない。
「でも、でも…!」
わかりづらいかもしれないけど、ちゃんと笑うし、辛そうな表情だってする。
両親もちゃんといるし、すごく美味しい紅茶も淹れてくれた。
「お前は優しすぎる。ちゃんと線は引かないとダメなんだ」
あぁ、届かないのか。私の声も思いも全部、泡になったように。
「もし、万が一…いや、億が一、***がルーピンを好きになるようなことがあったら。
引き離すよ俺は、ルーピンは***を幸せに出来ない」
待って、待って。どういうこと?私が、リーマスを?
「それでも、私は……」
「それでも、なに?***はなんなの?」
無意識に滑りでた言葉、なに?言葉の続きはなんなの?ねぇ、私は……リーマスのこと…。
あぁ、そうか。そういうことなんだ。
「好きなの?」
友人の言葉が、ストンと胸に収まる。
そうだ、どこの寮と合同授業かなんて今まで気にしたことなかったもの。
彼を探して目で追って、目があって嬉しくなって手を振って。
でも、遅すぎた。タイミングが悪すぎた。いつもは良すぎたのに、今は。
「なら、引き離さなきゃね。
……俺は、ずっと***が好きだったから。」
入学したときから、ずっと。
なんでこんなに、うまくいかないの。●●