狼さんと私。
□狼さんと一日。
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それから彼はよく私に付きまとうようになった。
彼はほとんどいつも一人だった。スリザリン生は彼を遠ざけているようで、変わりになぜかグリフィンドールの目立つ人達がいた。
「お前がリーマスの言ってた***とかいうやつか」
そうそう、ちょうどこんな顔立ちもよくて制服を気だるげに着た人とか
「ハッフルパフとスリザリンねぇ…あんまりない組み合わせだね!」
すごい癖っけに眼鏡の学年首席とか。
「あの、なにかご用ですか?」
つくづくタイミングが良すぎやしないか、漫画やアニメのようなタイミングで今まで考えていた人が目の前に登場するなんて。
「あの人嫌いなリーマスの新しい友人が気になって…」
私の話なんか聞いてない二人代わりに弱気に教えてくれた比較的小柄な男の子。
「ねぇ、君たち***になにしてるの?」
後ろからやってきたルーピンが、私と仕掛人たちを隔てる。
「おいリーマス!お前いつ知り合ったんだよこいつと、しかも女っ!」
「リリーに手出されるより幾万倍もいいけどね!」
「ちょっとは静かにしゃべれないの?うるさいんだけど」
「私行くよ?もういいよね?」
「図書室でしょ?僕も行く」
「あっ、おい待てよ!!」
あーもう、うるさいうるさい。私あまり目立ちたくないの。今まで通り過ごしていたいの。ルーピンがついてくるようになってからはもう叶わないけど。
「よかった」
「どうしたの?」
「ルーピンに、ちゃんと友達がいて」
少しの間があってから、うん。とだけ返ってきて、そのときの表情は心無しか嬉しそうに見えた。
やっぱり、彼は私たちとなんら変わりない。恐れることなどないのだ。
「ルーピンは純血なの?」
「一応。でもマグルも入ってる、母さんが半純血だから。***は?どこの国から来たの?」
「日本よ、母さんはマグル生まれの魔女。父さんはマグル」
今思えば、初めて私が彼に興味を持った日かもしれない。
「マグルって、どんな所?」
その日は、図書室じゃなくてとある空き教室でお茶をした。
「***、また明日」
「そうね、おやすみリーマス」
狼さんに歩み寄ってみた一日。