●捧げ物●
□骨の髄まで愛したい
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鬼島が手伝いに来てくれてから、溜まっていた書類の山は次第に減っていった。ふと、時計を見ると17時を回っていた。
「それにしても来ないっスね、総長」
と俺の気持ちを知ってか、知らずか副委員長兼副総長でもある西尾が、いつもこの時間に来る筈の鬼島が来ないことに声を漏らした。
「何かあったのか…」
俺が呟くと西尾がニヤケタ顔をしながら
「会長さん、心配してるんすか!この事総長に報告したら、あの人喜ぶだろうな」
と、わけのわからない事を言ってきた。こいつは鬼島と一緒にこっちを手伝いに来てからいつもこの調子で、おかしな事を良く言う。
だから俺はスルースキルがあがったんだけどな
と俺は一人納得していると閉まっていた生徒会室の扉が開いた。それと同時に入ってきた人物に俺は
「鬼島、テメー……転んだのか?」
と問いかけた。
すると、西尾と鬼島は互いに顔を合わせると腹お抱えて笑い出した。
「ちょっ、この怪我はどうもても喧嘩の怪我でしょ。会長」
「やっぱり、お前の近くは飽きねぇな」
二人の言っていることがいまいちわからなくて俺はただ、ボロボロになっている鬼島を見つめた。その視線に鬼島も気付いた様で俺の方に近寄ってきた。
「(また前みたいなこと言われるのか?)」
とガンを飛ばしていたと間違われていた時のことを思い出し、訂正しようと口を開いた。と、同時に一瞬柔らかい物が俺の唇に覆い重なった。そして、大きい手で頭を優しく撫でられると
「本当西園寺…いや、いずみは最高だな。これからもよろしくな?」
と俺にいい終わると通りすがりに西尾に何かを言って生徒会室から出て行った。