番外編
□巡り合わせ
2ページ/4ページ
「おや?噂では冷徹で他人には興味がないと聞きましたが、まさか貴方の口からそんな言葉を聞けるとはやはり噂は噂ですね」
と何故か感心する西城を無視して俺を覗き込んでいた夏目に連れてけと目配せをすると夏目は俺の手を掴んで走り出した。
「ちょっ、待ってよぉ〜」
「待ちなさい!総長の私を置いていく気ですか!?」
背後から二人の声を聞きながらも俺は走る足を止めなかった
狭い路地裏を通り抜ける
通りすがる人たちは皆早送りの動画のように流れて見えた。
ただ、俺は目の前で誰かが苦しむのは嫌だった。
だからそれだけのためになにも考えず走った
俺たちは息を上げながら走り続けると、遂に一本の開けた道に出た。そこにポツリとひとつだけ廃棄車庫があった。
「ハァハァッ、おぃ!ここであってんだろうな」
と前を走っていた夏目に聞くとピタリと歩みを止め振り返った。
「う、ん」
「だそうですね。さて、着きましたけどRYU、貴方には何か作戦があるんですか?」
「いや、ない」
「じゃ、どぉするのぉ〜」
と後から追いついた西城と大原が言うと
「そりゃ、お相手さんが来るまで待つだろ」
とニヤリと笑った。