番外編

□繋がる
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「辰樹くん、やめた方がいいよ。坂田くんは問題児だもん」


と誰かが小声で言った。


「先生も他の人と一緒に描いたらいいと思うけどな」


と先生までビビる始末。それに逆に最もそいつに興味が湧いて

「ほら、絵描こうぜ?」


と声を掛けた。するとそいつは

「お前は怖くないの?」


と不思議そうに聞いてきた。


「なにが怖いんだ?」


「小学生なのに赤メッシュだし、上級生によく喧嘩うってんの知ってんだろ?」


「オシャレさんなんだろ。それに俺だって喧嘩はする」


と言うと目の前にいるそいつだけでなく教室に居る皆が一瞬にして固まった。


「そんなに俺が喧嘩するの想像つかないのか?」


と首を傾げる俺に


「筋肉無さそうだしな」


と言う。


「じゃ、今度喧嘩するときは俺を誘ってくれよ。証明してやるよ」


と口角をあげていうとバシンと頭に衝撃が走った。


「こらっ!二人とも今は絵を描く時間よ。私語は慎みなさい」

と手に持っているノートで俺の頭を叩いた。周りを見ると皆も必死になってペアの似顔絵を描きはじめていた。


「何で俺だけなんだよ!理不尽な」


と先生を睨みながら言うとそいつは声を上げて笑った。


「なぁんだ、笑えるじゃん。いつも見る度にぶっちょう面だったからな。そのちの方が好きだぜ」


というと


「っ!」


そいつは顔を真っ赤にさせた。

「そういや、俺は一條辰樹だ」


「知ってる」


「お前は「坂田真咲だよ」…そっか。よろしくな真咲」


「よ、よろしく。辰樹」


そのあとに先生にしこたま怒られたのは言うまでもない。



「で、絵描き終わった?」


「ぁ。覗くなよ」


「これが俺!?どう見ても棒人間にしか見えないんだけど」


「ふざけッ」
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