●捧げ物●
□骨の髄まで愛したい
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転校生がこの鮫島学園に来てから、数ヶ月。
学園は、意味の通じない宇宙人の様な転校生に汚染され荒れる一方を辿っていた。そんな中、生徒会長である俺事、西園寺いずみはここ数日犬猿の仲である筈の風紀委員長の鬼島悠と、転校生に夢中になって仕事をしていない役員たちの書類を一緒に片付けていた。
本当にどんな成り行きなんだか...
今現在だって
「おい!」
「っだよ」
「さっきからジロジロ俺の顔みやがって喧嘩売ってんのか!?」
「はぁ!?テメーの顔見ただけで何で喧嘩売ったになるんだよ」
やっぱり鬼島と仲を深めるなんて無理だ。だって鬼島は学園でも有名なチームの総長だし
「はぁ、何だって言うんだ。役員は皆宇宙人の虜になって帰って来ねぇし。俺の側には怖い面の奴がいるし...。本当にお家に帰りたい」
「...は?お前誰に向かって言ってるんだかわかってんのか!?ツラボコるぞ」
「ん?お家に帰りたい事がそんなにテメーにとってキレる事なのか?」
「…ちげーよ。その前の事だ」
「宇宙人?」
「(なんだこいつ。俺をからかってんのか、朝会で話す時と大分雰囲気も違うし…堅苦しさが感じられない)」
「いきなりキレたと思ったら今度は考える人のポーズなんざとって…」
「……ぷっ。クッ、ハハハハハハ!」
「ちょっ、何で笑ってんだ?笑う要素どこだよ!!」
「ハハッ、そんは顔で俺を見るなよ。腹いてー」
「なんだよ、テメーも副会長たちと同じかよ」
「副会長たちがどうした?」
「俺が何気無く言った言葉だけでめっちゃ笑うんだよ。理由聞いても笑い続けるし、意味わかんねぇ」
「へー、なるほどな。だから、マリモが来る前の役員たちは必死に俺からお前を遠ざけようとしてたのか」
「何か言ったか?」
「いーや。ただ面白いもん見つけたなって思って」
「面白い物か…。美味しい物なら大歓迎なんだが(案外、鬼島とはやって行けそうかもしれないな)」
話をしたあと俺たちは、まだ減らない書類に取り掛かった。