BLACK★KING U
□ゆがみ
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3日目を迎えた俺は朝も森山に接触することなく講堂に来ていた。壇上には俺含める両方の生徒会が居て
「(なんだ、森山も居るんじゃねぇか)」
と部屋では会わなかった森山の姿を見つけた。そんな間も司会役の山田が
「はいはーい!おはようさん。今日は待ちに待った、仮装パーティー。そして、今年度は特別にスペシャルゲストとして桜塚学校の生徒会たちにも参加してもらうで!!!!」
と朝からテンション高く壇上下に集まった生徒たちに言うと男子特有の雄叫びを上げだした。そんな様子を見ていた大原が
「うわぁ〜、この声やだなぁ。出来れば可愛い声が聞きたいよ」
と桜塚学校の生徒を思い出し嘆きだした。双子たちはそんな大原の姿を見て互いに笑いあっていた。
「ちょ、静かにしてなさい!ここは私たちの学校じゃないんですよ!!」
と西城が慌てて三人に喋るのをやめさせるといつの間にか雄叫びは止んで静かになっていた。
「ほな、今から毎年恒例の発表会するでー。壇上に居る生徒会たちは一端各自の控え室に戻って、それぞれの机に袋が置いてあるから着替えて呼ばれたら出てきてな」
と山田が言うと司会を他の人に代わってもらって俺たちに笑顔を向けながら
「ほな、行くで」
と促し控え室に向かった。
パタンと閉まった扉を背に室内を見ると先程まで無かった黒い袋が真ん中にある机に置かれていた。
「……これか」
と躊躇い気味に中身を覗いてみると俺はその体制で固まった。それから近くにあった椅子を持ってきて座ると額に手を当てた
「俺はこれをどうすればいいんだ」
と改めて衣装を袋から出し広げてみると溜め息を吐いた。
目の前には純白の白いドレスが一着とロングでカールがされたウィグが置いてあった。
「生徒の要望がこれだと言うのか?俺に何を求めたいんだ」
嘆く俺に不意にノックが聞こえた。
「会長、着替え終わりましたか?急がないと皆を待たせてしまいますよ」
と西城が言うものの抵抗がありすぎて自分でもどうしていいかわからなかった。
「早く来てくださいね」
と言う言葉を最後に西城は立ち去った様で足音が遠退くのが聞こえた。
「しょうがねぇ」
それに半分投げやりになりながらも渋々着替えると壇上袖に行った。