番外編
□人の温もり
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「はぁー、ったく何でこう言う時期に限って暖房壊れるかな」
と俺は壊れた暖房機を見ながら書類を片付け始めた。
段々冷えはじめる指先を摩っているとガチャっと音を立てて扉が開いた。
「なんだ、この部屋寒くないか!?」
と言いながら入ってきたのは風紀委員長の鬼塚だった。良く見ればお互いの吐く息が白く寒いことを示していた。
「あー、なんかいきなり寒くなった」
と仕事に支障を出さないために適当に言うと目の前の書類に取りかかった。すると、そんな俺を見つめていた鬼塚が視界の端で動いたのが見えた。それからフワリと俺の好きな薫りが俺を包んだ。
その温かさに、微かに震えていた身体の震えがとまり俺は首だけを後ろに向けた。
「何だよ、鬼塚?」
「この方が温かいだろ」
と言って俺の肩周りに自分の手を回し身体を密着させてきた。ほんわりと温かい体温が俺を包み、俺は自分の手を鬼塚の手に重ねると
「ありがとう」
と言ってキスをした。