番外編
□歯車
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「なぁ辰樹。何でわざわざ生徒会選挙に出ないといけないんだよ」
ガヤガヤと騒がしい体育館の中で俺の耳元で呟く真咲を横目に睨みつけると
「馬鹿言え!俺は、今優等生キャラ何だから当たり前だろ」
と赤フレームの眼鏡をクイッと人差し指で押し上げた。
「何でそのキャラにしちゃったの?何か隣に居るのが堅物って俺嫌なんだけど」
と真咲が萎えながら言うが俺は、何も言わずにただ前の壇上を見つめていた。カツカツと足音と共に明るくライトアップされた壇上には、全生徒会メンバーが役職ごとに分かれている席に座っていた。
「キャー!!!三海道様」
「神宮司様がこっち見たよ!」
「僕を見たんだよ」
「久しぶりに生徒会メンバー様に会えたよ」
と口々に興奮しながら言う言葉に俺は少し眉を潜めた。
「本当前回もそうだったけど馴れないな」
「いや、これは馴れないでしょ」
と苦笑いをすると俺の耳に
「ねぇねぇ、今年誰が会長になると思う?」
「勿論、また三海道様だよ!」
「僕、人気投票で一條くんに入れた」
「えっ、僕も何だけど!?」
「一條君って誰?」
「僕たちのクラスの王子様的存在!!ほら、今ちょうど僕たちの前にいる…」
とキャキャしながら話をするクラスメートの声が聞こえた。
勿論、その生徒は俺たちの後ろに居るらしく真咲にもバリバリ聞こえたようで、おちょくるように自分の肘で俺の身体を何回か押すと俺は、真咲を見た。