BLACK★KING
□天候の兆し
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鬼塚 SAID
いきなり倒れた一條に俺は、焦ると共に直ぐに俺の兄貴が居る保健室に連れていくため一條を背負おうとした。が、俺と一條ではあまり背丈が変わらなかったので俺は直ぐに、保健室に運ぶことを優先して一條を抱き上げた。言うならば“お姫様抱っこ”
「っしょ、軽いな」
予想もしない軽さに不意に漏れた呟き。ずっと一人で抱え込んで頑張っていた一條を想像して、俺は自分の愚かさをまた知った。
「今時間はお昼時か?」
良いのか悪いのか良く分からない時間に俺は、舌打ちしながらも暗い教室を後にした。
「きゃ、鬼塚様だぁ」
と言う一人の声に廊下に居た生徒たちが一気にこちらを向いた。
「あれ?会長さまじゃん」
「鬼塚様が一條様をお姫様抱っこ!お二人はそういった関係だったんですね」
変な想像をして頬を染めるチワワたちに目もくれず、俺は速歩きで生徒の間を通り過ぎる。やっと保健室に着くと俺は、壊れることも気にせずに勢い良く足で扉を蹴った。
バンッと大きな音がすると同時に開かれる扉。目の前に居る白い衣服を着た兄貴はコーヒーが入ったコップを持ちながら俺の方を見て固まっていた。