BLACK★KING

□天候の兆し
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鬼塚は眉を寄せながらも自分のブレザーを脱ぐとバサリと俺にかけた。


「これ羽織ってろ」


と極力俺の姿を見ないためなのかそっぽを向く鬼塚。それに恥ずかしくなって


「………ありがとう」


と俺は、下を向いて呟くと


「少しは、自分の容姿を自覚しろ。勝手に一人になりやがって……」


と少し怒気を含んで鬼塚が俺に言うと俺は、


「わりぃ」


と、また謝った。
それから安心からか一度止まった涙が、今度は止まることなく流れ出した。そんな俺に鬼塚は優しく抱きしめ目元を指で拭う。


「っ……」


相手は鬼塚なのに先程の記憶が頭を過り、身体を強ばらせた。

「大丈夫だ。もういない」


と優しく囁く鬼塚に周りを見ればいつの間にか坂井が居た。


「じゃ、あいつらはタップリ風紀室でお仕置きしとくからお二人さんはごゆっくり。ほら、そこの親衛隊長さんも行くよ!」

と坂井は東の手を取ってその場を去っていった。
同時に俺の中で何かがプツリと切れて俺は、鬼塚に身体を預けた。狭く暗くなる視界で少し見えた焦っている鬼塚の顔を見て、笑みが零れた。
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