BLACK★KING
□この景色変わることを望まぬ
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「「ずーるーい!!何でなっちゃん先輩だけひいきするのー?」」
似た顔が同じ言葉を同じタイミングで言うのを見て“毎回すごいな”と俺は思いながらも
「てめぇらが、しっかり仕事やりゃ俺だって何も言わねぇーよ。双子」
と、適当にあしらうと二人が一緒にムスッとした顔をした
「「たっくん、何回も言ったけど僕たちは一緒であっても一つじゃないよ」」
「あっそ………」
興味無さそうに俺は言う
「僕は、柚子」
「僕は、郁里」
「「わかった?」」
と首をかしげながら双子が言ってきた。
「はいはい、わかったよ。双子」
と俺は恒例の流れに苦笑いを浮かべた。
「(この二人は、煩いが面白い)」
と思いながら監査の釼柚(ツルギ ユズ)と郁里(ユリ)を見ると先ほどのやりとりでしょげてしまった二人の頭にポンと手を乗せた。
「からかって悪かったな」
そう言った瞬間、さっきまで騒がしかった生徒会室は一気に静まり返り、前を見ると何故か顔を赤くした双子が立ち尽くしていた。
「あーらら、罪な男だね。辰樹ちゃんは、少しは自覚しないといけないよー」
と折角静かになった部屋は一瞬にして間延びした声で砕けてしまった
「何回言えばわかる、ちゃん付けで名前を呼ぶな。それに生徒会は16時からだった筈だが?」
と込み上げてくる怒りを抑えながら言うとチラリと会計の大原彰(オオハラ ショウ)が時計を見た。
「しょうがないな会長ぉ。しかも16時になってから、まだ20分しか経ってないじゃん」
と詫びることもなく言うと今まで静かに自分の仕事をしていた西城が
「静かになさい!!全く、会長も人の事叱っておいてこの様はなんですか!?本当に仕事が進んでないじゃないですか」
と声を荒げて言われ、また静まり返った。
それに、俺は居たたまれなくなり
「ちッ、胸糞わりぃ……」
と小さく呟くと自分の仕事を持って生徒会室を後にした。