小説恋になるまで
□心地よさは
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「えっへへ〜♪」
戻ってきた三森はすげー笑顔だった。それはもう気持ち悪いくらい。
「どうしたんですか。気持ち悪い顔して……」
「いいこ、と……あっ、た?」
「それがさぁー、転入生が超いい子だったの!」
すげぇ。吉岡の毒舌が効いてない。
つーか珍しい。三森がそこまで気に入るやつなんかいなかったのに。
「みんなで会いにいこーよ!」
「は?ちょっ、三森!離しなさい!」
「あ、……」
三森が吉岡と永峰を拉致った。
俺は興味ないからいいけど。
つか後で吉岡に怒られるぞ、三森は。
それから数時間後に戻ってきた役員はすげー空気が緩かった。
あの吉岡ですらいつもより雰囲気が柔らかい。
そんなに転入生、いい奴なのか?
「美月がね〜、俺は皆に優しいんですねって言ってくれたのー」
お前の場合は可愛い子に優しいんだろーが。
「おれ、人のこ、と…かんがぇ、られ…る……って」
ああ、人のこと考えられるから安易に言葉を口にしないんだなとかなんとか言われたのか。
まぁ、確かに永峰は気が利く。
「で、吉岡は?」
「その笑顔もいいけど色んな表情も見てみたいとかなんとかいってました」
「
へぇ」
これは、木村(風紀副委員長)がさっき来て言っていた王道?とかいう展開じゃねーか……。
役員全員が転入生に惚れて仕事しなくなるってやつ。
ただ、転入生は別にマリモじゃない。
ハーフだかで金髪碧眼だ。
資料からすると顔も可愛い感じだったし。
別に俺は仕事さえしてくれりゃー、あいつらが転入生に惚れようがなんだろうがどうでもいい。
それで俺の生活の何かが変わるとは思えねーしな。
まずは俺も転入生に会いにいってみねーと始まんねーよな。
転入生の良いところを話している役員にとりあえず仕事をしているように言い、俺は生徒会室を後にした。
あ、大地に電話しとかねーと。
五月蝿いからな。
この時の俺は、会いにいかなきゃよかった、なんて思うことになるなんてまだ知らなかった……。
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