小説恋になるまで

□心地よさは
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吉野美桜side(生徒会長)


「あのクソ野郎ッ!」


俺は生徒会室のドアを少し乱暴に開閉して中に入るとそう言ってもっていた資料を自分の机に叩きつけた。

そんな俺に役員は顔を見合わせ不思議そうに首を傾げた。


「どうしたんですか、吉野」

「どーしたもこーしたも、あのクソ野郎がクソすぎてやってらんねーんだよ!!」

「クソ野郎って理事長代理のことぉ?」

「ど、した…の…?」


どっかりと会長席の無駄に高価そうな椅子にふんぞり返るように座って説明する為に口を開いた。



説明し終えるといくらか怒りが落ち着いて、いつもの無表情に近い仏頂面に戻った。


「転校生ですか…」

「しかも今日くるって急だねぇ」

「いつ、もと…ちが」

「腹立つだろ?」


そもそもクソ野郎が理事長になってから仕事が増えたしイライラも増えたんだ。溜め息が止まらない。

とりあえず、決めなくてはならないことがある。


「誰が迎えにいくか、ですね」

「俺は忙しい」

「ああー、かいちょーズルい!!」

「ズルくねーよ」

「はいはい。二人とも五月蝿いですよ。」

「じゃん、けん…する」


書記の一言でじゃんけんをした俺
たち。勝負は一発でついた。
勝ったのは俺と吉岡と永峰。
負けたのは三森。つまり会計の三森が転校生を迎えにいくことになった。ざまあみろ。

さっさと三森を追い出し、風紀に資料届けにいった永峰を見送り、まだまだ残っている書類へと取りかかることにする。


「………………なんだよ」


さっきから吉岡の視線がささる。
なんでそんなガン見されなきゃなんねーんだ。見物料とんぞコラ。


「いえ。南雲がいなくなってから4日経ちますが大丈夫なのかと思いまして」

「大丈夫もなにも……」


元々俺は何でも自分で出来るんだ。
ただ、少しだけ自分のことに対して大雑把なだけで。


「大雑把なんて可愛いもんじゃないでしょ、貴方の場合」

「ああ?」

「とりあえず毎日6時間は寝てください。あとは三食……最低二食は摂ってくださいね」


ああ、ここにも南雲がいる…。
南雲2号だ、南雲2号。
いや、南雲は何も言わずに俺の世話をやく。
あいつは見た目には似合わず面倒見がいいからな。


「ちょっと吉野。聞いてるんですか?」

「………ああ、聞いてる聞いてる」

「ムカつきますね、その言い方」


なんだ、じゃあ可愛く謝ればよかったのか
?………気持ち悪っ。
まあ心配してくれてんだよな。
そこは一応感謝しといてやるか。


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