小説恋になるまで
□心地よさは
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結論から言おう。
俺は転入生――神宮の言う通りに3日前に役員どもを遠ざけた。
つっても俺は一言言っただけだ。
「転入生は性格わりぃな。お前ら見る目ねーよ。」と。
すると案の定、三森と永峰は怒って出ていき、それ以来ここには来なくなった。
だが、吉岡は二人とは違った。
なんでだろうな…。
これだけは言いたくなかった。
だけど言うしかなかった。
「吉岡、俺はお前らと仕事するの疲れるんだわ。チャラいし、無口だし、毒舌だし。一般家庭の俺なんぞに負けてる顔と家柄だけのお前らといるのが疲れんだよ」
「は?吉野…?」
「………いらねーんだ。お前ら」
その時の吉岡の表情は今でも忘れられない。傷ついた表情。
いつもの張り付けたような笑顔はどこにもなかった。
「そうですか………わかりました」
そう言って吉岡は出ていったきり、やっぱり戻ってこなかった。
「はぁ……」
目の前に積まれている四人分の書類にため息は慢性化してきている。
自分で突き放しといてなんだけど、これは無理がある。
だってこの書類の山……
もう積まれてる書類で何も見えん。
さすがの俺でも3日徹夜じゃ少しだけ眠い。
吉岡との約束
、六時間は寝るなんてーのも果たせてない。
まぁ今となっちゃどうでもいい約束だけどな。
ため息をついているとドアがノックされ風紀委員長である黒須が入ってきた。
「俺は入っていいなんて言ってねーぞ」
「おい、どうなってんだこれ」
「……………………」
「だんまりか、会長さん」
面倒な奴に見つかった。
説明のしようもないし、説明したくもない。
俺すげーかっこわりぃからな。
「………………何でもねーよ。ちょっと全員出払ってるだけだ」
「……で、本当は?俺あの時さ、聞いてたんだよなぁ」
「は?」
「お前と転入生の話」
「ッ…!!」
コノヤロ!
聞いてたってならわざわざ試すようなことすんな!!
「聞いてたんならその通りだ」
「いいのかよ、このままで」
いいも何もねーだろ……
そうするしかないんだ。
今の俺には。
「南雲には言ったのか?」
「………………言ってねぇ」
大地に言ったらあいつは間違いなく俺を助けようとする。
南雲家を巻き込んででもな。
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