短編集(裏)

□仔猫ちゃん
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ピンポーン。
来てしまった。
ドキドキしながら扉の前で待機する。
虹村先輩の家には何度か来たことがあるが、状況が状況なだけに緊張する。
誰も出てこない。
(もう、行ってしまったのかな。)
諦めて背を向けようとしたとき。
「おう、赤司…。」
鼻声な虹村先輩の声がした。


「風邪、ですか…。」
「おう。だから学校休もうと思って。」
中に入れてもらって事情を聞いた。
「俺も今日休むんで、携帯に連絡したんですけど返事が無かったもので。」
「ああ悪い。電源切ったままだった。」
なんだ。よかった。
虹村先輩が風邪というのは心配だけど、自分もこんな状況だから早く帰らなければ。
「それで、赤司は心配になって来てくれたわけか。」
図星なだけに何も言えない。
「無事が確認できて良かったです。それでは帰りますので。」
少しふてくされ気味に言って立ち上がると腕を掴まれた。
「全然無事じゃねーんだけど。」
小さく睨み返してから俺はまた座った。
「そういえば、無遅刻無欠席な赤司君はなんで学校休むんですか。」
それを聞かれたくなかった。
どう見たって風邪ではないし、上手い言い訳も思いつかない。
「まさかずる休みじゃないだろうしね。」
「…驚かないで聞いてくれますか。」
仕方ないから真相を話すことにした。
虹村先輩なら理解してくれるだろう。
躊躇いながらも、ゆっくり帽子をとった。
「朝起きてたら、こうなってたんです。」
ピンと立つ猫耳を見て、虹村先輩は目を丸くした。
のは一瞬で。
「すげ。実際に起こんだね、こんなの。」
「笑わないでください…。」
「いやいや。似合ってるよ、赤司。」
口元に笑みを浮かべながらそんなことを言われたが、全く嬉しくない。
「誰かに見られるわけにはいかないので、今日は家でゆっくりしてます。」
「そんなこと言わずにさ、俺ん家にいろよ。」
さすがにそうするわけにはいかない。
というかこんな姿を見せたくない。早く帰りたい。
「ねえ、もっとよく見せてよ。」
虹村先輩が俺の頭に手を伸ばす。
そのまま、頭に生えている耳に触った。
「ひゃ…。」
思わず出てしまった声に2人して驚く。
何。今の。
むず痒くて変な感じがした。
いや、違う。
この感覚を俺は知ってる。
「へえ…。」
そして虹村先輩もわかっている。
やばい。これ以上触られるわけにはいかない。
「先輩、やめてください。」
「いいね、これ。」
嫌がる俺を抑えて、先輩は猫耳を弄り出した。
「いや…ん、やめて、くださ…ふあ。」
そのままソファの上に俺を押し倒す虹村先輩。
こういうことは今までにもしたことがあるけど、これはやばい。
この猫耳、敏感すぎる。嫌だ。
「せ、んぱ…ぁい、や、め、っあ。ひゃあ。」
「お前が変な声出すのが悪いんだよ。」
慣れた手つきで俺の服を剥がしていく。
まだ朝の明るい時間というのも嫌だ。
「お。」
ズボンを脱がされたことで隠していた尻尾も見つかった。
「すげー。お前本当に猫じゃん。」
「違います。…ああっ!」
尻尾も、耳と同じだった。
いや、それ以上かもしれない。
「へえ、こっちも…。お前の耳と尻尾、性感帯なんだな。」
「言わ、ないで…くだ…あっ、さい…っ。」
耳と尻尾を同時に弄られて、すっかりされるがままになっていた。
「相当気持ちよさそうだな。もう勃ってるし。」
パンツを脱がされ事実を見せつけられれば何も言えない。
「あ。いいこと思いついた。」
…どうせいいことじゃない。
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