短編集(裏)

□仔猫ちゃん
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どうしたものか。
鏡を見て確認する。
もう何度目だろう。軽く10は超えている。
間違いない。
頭に生えた耳、お尻からは伸びた尻尾。
どこからどう見たって猫だ。
(なんで俺こうなっちゃったんだろう。)
不思議と焦りは感じない。
やけに冷静なのが自分でも怖い。
とりあえず、今日は学校だ。
さすがに休むしかないだろう。
家の者に見られるのも嫌だから、今日は部屋に籠っていよう。
そう判断して学校に連絡を入れる。
学校を休むのは初めてかもしれない。まあ仕方ないな。
そうだ。部活。
主将に連絡しておこう。
そう思ってメールをするが了解のメールが来ない。
携帯を握りしめたまま一時間経ったが来ない。
もうすぐ家を出る時間だろう。
今度は電話をしてみる。
が、出ない。
(何かあったのだろうか。)
心配になる。連絡のことではない。虹村先輩のことが。
そして一度気になり出したら止まらない。
(少しくらいなら、大丈夫だろう…。)
俺は帽子を深く被って、家を出た。
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