短編集(その他)

□君のいない世界
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もしも。本当にもしも。
真ちゃんが死んだら、俺はどうなるんだろう。
「俺さー。」
隣に座る真ちゃんがこっちを向いた。
「俺さ、真ちゃんが死ぬ1秒前に死にたいな。」
「なんなのだよ。いきなり。」
そしてまた前を向いた。
「だって、真ちゃんのいない世界では生きていけそうにないんだもん。」
生きていけないだろうなーという推測ではない。
生きていけない。そう断言できる。
「真ちゃんは俺が死んだらどうする?」
「別にどうもしないのだよ。」
いかにも真ちゃんらしい答えが返ってきた。
ちょっと悲しいな。
「安心しろ高尾。俺は人事を尽くしているから先に死ぬことはない。」
「ぶっふぉwwwwなんだよそれ。」
笑ったら少しスッキリした。
ちなみに今のを訳すと「俺はお前を悲しませないのだよ。」といったところだろう。
「もー真ちゃん大好きー。」
そう言うと、今度はあっちを向かれてしまった。
「俺は高尾が死んでも何も変わらず生きていく。それで、お前が見れなかった分の景色をたくさん見るのだよ。」
「俺だったら、真ちゃんが隣にいなければどんな景色も意味なくなるけどね。」
「だからお前はダメなのだよ。俺なら、それで俺が死んであの世でお前に会ったとき、たくさん話してやるのだよ。お前が見れなかった景色を。」
え…。
相変わらず真ちゃんの顔は見えない。
けど、でも。
「ありがと真ちゃん。」
これだから俺のエース様は。
どこまでも愛してるよ。
「さりげなく、死ぬまで一緒☆みたいな会話になったね。」
「……。」
視界の端で顔を赤くする真ちゃんが見えた。
まー俺はそのつもりだけどね。真ちゃん。

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