長編

□あの日の彼。6
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「フリ?どした?」
カワに言われてハッとする。
「最近ずっとこうな。携帯見ながらニヤけちゃって。なに彼女?」
「いやいやいやまさか!」
慌てて全否定する。
そんなわけあるはずない。
だってただの友達だし。うん。そうだよ。
にしては、なんでこんなにメール来るのが嬉しいのか。
…まあ赤司君だもん。
あの憧れの赤司君からのメールだもん。
そりゃ胸が高鳴ったっておかしくない。うん。
俺は慌てて画面を閉じて部活に向かった。


あの忘れもしない奇跡のような一日以来、俺は赤司君とちょくちょく連絡をとるようになっていた。
最初のうちはすごく緊張して、何度も何度も読み直して、送信ボタンを押すのも勇気が要った。
そんな日々を続けながら、気づいたら毎日メールするようになっていた。
別になんてことない、その日のことを伝える。すると赤司君もちゃんと話を聞いてくれる。
いつしか俺は、日常のいろいろなもの・ことを赤司君に教えたいと思うようになっていた。
さらに、別にメールが無くても常に携帯を見ているようになっていた。
理由は明確だ。
小さく揺れる無愛想なクマ。
これが赤司君、ねえ…。
自分はとんでもないことを言ったのだと痛感する。
そんなこんなで、一日が大きく変わってしまった。もちろん止めたいなんて思ったことがない。

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