長編

□あの日の彼。2
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俺と同じ1年。
俺と同じPG。
共通点はたくさんあると思う。
でも、俺らは何一つ違う。
試合を見てそれを思い知った。
と同時に、憧れた。
いくら努力しても、いくら手を伸ばしても、きっと届くことは無いだろう。
でも、だからこそ。
あの小さな背中を、追い続けたいと思った。


(うわ、やばい!!)
トイレに行っていたら迷ってしまった。
きっとみんなはもう出ただろう。
出口はどこだっけ…。
走っていると、視界に赤が映った。
(あ、かし…くん。)
せっかくのチャンスだから、何か話しかけたい。
何を?俺が?
あー…どうしよう…。
なんて迷っていると、こちらに気付いた赤司君が俺に言った。
「君は…誠凛の?テツヤを知ってるかい?」
「あ、えと…。黒子ならもう外だと…。」
直視できないから俯きながら、キョドりながら。
「そうか。もう少し話したかったんだが…。まあ、敗者の僕が言うことではないかな。」
最後の言葉に思わず顔を上げた。
目を伏せて、悲しそうな顔をしていた。
その目は真紅な赤とは別の赤色を帯びていた。
ああ。そうだ。
この人は赤司征十郎で。
俺と同じ1年。
俺と同じPG。
俺と同じ”人”。
少し遠い所にはいるけれど。
立っている地は、一緒なんだ。

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