短編集(赤司受け)

□とりっくおあとりーと!
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「とりっくおあとりーと!」
ああ、バカそうなのが来た。
「違うぞ黄瀬。Trick or Treatだ。」
「なんでもいーじゃないスか!それより。お菓子くれなきゃいたずらするぞー!」
わーわー子供みたいにはしゃいで。全く。
「紫原。」
「黄瀬ちんにあげるお菓子なんかないし。」
「だそうだ。」
「酷いっス!てかそうじゃなくて…。」
何がしたいんだこいつは。
少し言葉を探した後黄瀬は言った。
「ああ赤司っちからのお菓子がいいんス!」
「無い。」
「じゃあいたずらするー!」
と無邪気に黄瀬が襲いかかってきたところを何も言わず手で止める。
「もー赤司っち酷いっスよー。いたずらしないから離して?」
仕方ないから離してやる。
なんだかんだ甘いな、俺。
「隙あり!」
「うわっ!」
と思ったら黄瀬がいきなり抱きついてきた。
「お前…いたずらしないって言ったじゃないか!」
「これはいたずらじゃなくてスキンシップ。」
くそ…事実だけに何も言えない。
そもそもスキンシップといって抱きつくか?
まーいつものことだし、しばらくされるがままになっていた。
ペロッ。
「ひゃあっ!」
いきなり、耳を舐められた。
突然のことで変な声を出してしまった。
「黄、瀬…お前…!」
「ごめんっス赤司っち。つい可愛くていたずらしちゃった。」
ごめんと言う割には全く反省の色が無い。
このやろ。
「にしても赤司っち。今の声可愛かったんスけど。もっかい!」
「は?何言って…ひゃ!」
「赤司っち耳弱いんスね。初めて知ったっス。」
「だから何…ふああ!」
それからずっと耳を舐められて。
ああこれならお菓子くらいあげればよかったか。


「僕たちの存在、完全に忘れてますね。」
「全くなのだよ。」
「いーからお菓子食おーぜー。」
「俺がもう全部食べちゃったし。」

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