短編集(赤司受け)

□朝
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目が覚めた。
窓から光が差し込んでいる。
朝だ。
俺は朝が嫌いだ。
だって、ほら。
君はもう、どこにもいない。
隣に合ったはずの温もりも無い。
後ろから抱きしめていてくれたのに、背中は冷たい。
ベッドが広くなった。
部屋が寂しくなった。
君は、どこにもいない。


赤司君はいつも始発で帰っていく。
じゃないと朝練に間に合わないし。
これだから、京都と東京というこの距離が憎くなる。
それでも、まだ会えるんだからマシだ。
会って、2人でいろいろな場所に行って、いろいろな話をして、夜を共に過ごす。
この時間が俺は好きだ。この世で一番、好きだ。
ずっとずっと、赤司君と一緒にいたい。
朝は、そんな俺の思いをいとも簡単に崩していく。
俺から赤司君を奪っていく。
だから、俺はこの距離より朝のほうが嫌いだ。
朝なんか、来なければいいのに。
そうして俺はまた、君のいなくなった部屋で一人泣いている。


朝が来なければ、明日も来ないんだよ。
明日が来なければ、未来も来ないんだよ。
2人で一緒に過ごす未来も、来ないんだよ。


俺はまだ、何も知らない。

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