短編集(赤司受け)

□距離
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俺ね、たまに思うんだ。
もしも、同じ学校だったり、そうじゃなくても、もっと近かったら。
もっと上手く、いってたんじゃないかなぁ。
「何言ってるの。」
そう言うと、返事は一つ。
「君は今の僕との関係に不満があるのかい?」
「そうじゃないけどさぁ…。」
やっぱり、ずっと一緒にいたい
会えないのは辛い。寂しい。
「僕だって、会えないのは嫌だよ。でもこの距離には満足してるんだ。」
「なんで?」
「会えないぐらいがちょうどいいのさ。ずっと一緒にいるのが当たり前になると、君の存在の大切さを忘れそうだからね。」
赤司君が笑って言った。
やっぱり君と俺は違うな。
そうだね。うん。確かに。
会える日は楽しみで楽しみで。
メールには敏感に反応する。
電話は毎日したい。通話料とか関係ない。
今何してるのかなあ、とか考えたりして。
赤司君が好きで大好きで。
こういうのも全部、この距離がくれたものなんだね。
「大好きだよ。」
「僕も。」
ギュッて抱きしめる。
この温もりも、ずっとは感じられない。
だからこそ愛おしい。
忘れたくなくて、もっともっと抱きしめる。
次会うのはいつだろう。
それまでまた、毎日ワクワクするんだね。
それも確かに、悪くないや。
「じゃあ、赤司君を補給しとくー。」
みんなが毎日与えてる分の愛を今全部あげる。
だからその分頂戴ね?
優しくキスをすると微笑む君と目が合った。
ああ。愛おしい。

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