短編

□お大事にどうぞ
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わたしはガラス細工ですか?
精巧につくられた、骨董品?




『卿は完璧だ』

と、誰かが私の容姿を見て言った。目鼻立ちは確かに整っている。肉体の曲線は美しく描かれて、ショーウィンドウに飾られた人間を模したそれによく似た姿形

だからなんだっていうの?

私が欲しくて手にいれたものではないわ
母や父に似ない、突然変異の私の容姿は、もてはやされる反面気味悪がられた

『卿は完璧だ』

ああ、また恍惚にも取れるその表情で私を見るのね。『完璧だ』と、馬鹿の一つ覚えのように同じ言葉を私に吐き散らかして

絹のような私の頬に触れる骨ばった指。細められる瞳
白髪の混じった初老の男
彼もまた、私とは違う美を持つ人
この胸を走る感情は、なに

『若い、違う時を持つ肉。嗚呼、卿は美しい』

戦国の世に咲く、迫害された華は、一人の名も知らぬ武将、あなたに愛でられる
褒め称えて、水を与えて

だからなんだっていうの

『卿は完璧だ』

枯れたいと願う私に、また余分すぎる水を一言与えて、私を生き長らえさせていくのだ

もとより誰からも求められぬ売れ残りの華。そんな華でもよいのなら


お大事にどうぞ









――――――

トリップ美少女





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