novel/しょーと

□想い、想われ
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想い、想われ〜彼の場合〜














携帯電話の規則的な振動で目が覚めるとまだ寝始めてから少ししかたっていなかった。

(まったく。誰ですかこんな時間に。)

枕元にある携帯に手を伸ばすと、ディスプレイには新着メールの文字。相手は甲斐裕次郎。

『終電間に合わなかった!ヤーんかい入れて!』

‥‥社会人にもなってだらしない。素早くホームボタンを押して彼のお願いを断ち切った。
第一、家に入れる訳がないでしょう。今日はユウが泊まりに来ているというのに。

隣で眠る彼女は、すうすうと寝息をたて今の自分の一連の行動にも気づいてはいない。

(幸せそうな、顔して)

長い睫毛を伏せて、少し開いた厚めの唇からは時折吐息が漏れる。

彼女のひんやりとした耳たぶを触ると

「っ、んー、」

弱い所を触られたからか艶めかしく身を捩った。

(‥っ!反則ですよ。)

ユウの可愛さに愛しさが溢れて思わず抱き寄せる。
すべらかな額に口付けを落とすと絹の様な髪からはシャンプーの香りが鼻を掠める。
さらりとした手触りのそれにも口付けるともっと愛してしまいたくなる。

子供の様に小さな顔にやはりキメの細かな頬。
自分が紅く染めるのだと思えば唇にもキスをするのに躊躇いもなかった。

(‥俺としたことが、)

我慢の効かない自分自身に呆れるとユウは

「ん、うぅん、暑い‥‥」

とせっかく抱き寄せた腕から逃れて反対側へ向く。

やりすぎた、と反省してももう遅くここから見えるのは彼女の項となだらかな丸みを帯びたライン。ユウは痩せたいというがもっと肉付きがよくてもいいくらいだ。痩せたら抱き心地が悪くなる。このふわふわとした甘い菓子の様なユウが好きなのに。しかしこれを口にしたらきっと彼女は怒るのだろう。

手を伸ばせば届く距離なのに、もっと近くに寄せたくて後ろからユウを抱きしめる。さっきよりもシャンプーの香りが強くてクラクラする。
手のひらにちょうど当たる二つの柔らかな感触。

(こ、れ以上はいけませんね)

ギリギリの所で解放した。

(しかしよく寝てる‥)

悶々としているのが自分だけなのが妙に悔しくて、彼女に背を向けた。

今度甲斐くんが家に来たらゴーヤーでおもてなししてあげましょう。起こした主に恨みをぶつけて目を閉じた。









fin






↓アトガキ
初、木手さんでした。
最近木手さんにも萌えが止まらない!
感想などありましたら、お待ちしてます^^


20131014彗

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