... 「あー、でもなんでクラス離れちゃったんだろ。」 「しょうがねぇだろーが。そればっかりはよ」 忙しい彼と手を繋いで歩いて帰れる日が嬉しい。 「そこをなんとかさー、跡部財閥の力でえいっとやってさー」 「アーン?馬鹿かお前」 「・・だって。」 思いっきりしょんぼりしてやると彼は少し困った様にこう言った。 「んなもん、離れててもすぐ会えんだろうが」 「・・ふふ。」 ほうらね。こうやって私の気持ちを救ってくれる。 ひねくれた気持ちもどこかに追いやってしまうんだ。 「何、笑ってやがんだよ」 嬉しくて笑っていると額にデコピンをくらった。 「いたっ!ちょっと!嫁入り前!」 「ハッ!貰い手がいねぇーだろ」 「し、失礼ね!」 足元にある小石を蹴る。 なにさ、なにさ、言い過ぎでしょうよ。 「ま、どうしても貰い手がいなかったらよ、・・俺んとこでも来りゃいいだろ」 「え・・?」 それって、まさか、 「メイドとして雇ってやるよ」 ぎゃふん! 「あんたねぇ・・ほんと性格わるっ!」 「そんな奴に惚れたのはどこのどいつだ?アン?」 「・・っ!」 自信満々に笑うから何も言えないよ。 手を繋ぎながら、こんな些細なやり取りが私の大切な大切な思い出になる。 一瞬たりとも忘れたくないの。 ねぇ、跡部、私と居て、幸せだった? |