嘘つきな恋

□嘘つきな恋 1
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...




「あー、でもなんでクラス離れちゃったんだろ。」

「しょうがねぇだろーが。そればっかりはよ」

忙しい彼と手を繋いで歩いて帰れる日が嬉しい。

「そこをなんとかさー、跡部財閥の力でえいっとやってさー」

「アーン?馬鹿かお前」

「・・だって。」

思いっきりしょんぼりしてやると彼は少し困った様にこう言った。

「んなもん、離れててもすぐ会えんだろうが」

「・・ふふ。」

ほうらね。こうやって私の気持ちを救ってくれる。

ひねくれた気持ちもどこかに追いやってしまうんだ。

「何、笑ってやがんだよ」

嬉しくて笑っていると額にデコピンをくらった。

「いたっ!ちょっと!嫁入り前!」

「ハッ!貰い手がいねぇーだろ」

「し、失礼ね!」

足元にある小石を蹴る。

なにさ、なにさ、言い過ぎでしょうよ。

「ま、どうしても貰い手がいなかったらよ、・・俺んとこでも来りゃいいだろ」

「え・・?」

それって、まさか、

「メイドとして雇ってやるよ」

ぎゃふん!

「あんたねぇ・・ほんと性格わるっ!」

「そんな奴に惚れたのはどこのどいつだ?アン?」

「・・っ!」

自信満々に笑うから何も言えないよ。

手を繋ぎながら、こんな些細なやり取りが私の大切な大切な思い出になる。

一瞬たりとも忘れたくないの。





ねぇ、跡部、私と居て、幸せだった?







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