跡部に告白した日から2日。 明確な返事が無くてあの時の私はずっともやもやしてた。 嘘つきな恋 2 3時間目の終わり、友達のトイレ行こうという女子特有のお誘いを断り、まばらに生徒の残る教室でぼんやりしていた。 幸せにしてあげる なんて強引すぎたよなー でもあんな跡部見てたら、なんとかしてあげたいって‥ あー、あの横顔格好良かったなー!夕陽の朱い色が跡部の肌に光って‥‥ 「なーに1人で百面相してんだよ」 ぐるぐる考えていたら急に跡部に日誌で頭を叩かれた。 「っ!痛‥‥」 「日直、サボってんじゃねーぞ、アーン?」 そうでした。ここ氷帝は週番制度が適用されているんでした。 「‥‥‥痛い」 「‥っ、んな強くした覚えはねーが、大丈夫か?」 「‥‥‥跡部に振られて心が痛い」 「!!こ、の!もう一回頭打っとくか!アァン?」 クラスメートの、あぁまたあの2人やってるよという生暖かい視線が妙に心地よかった。 良かった。嫌われてはないみたいだ。 その後、昼休み返上で次の授業の準備のために視聴覚室まで2人で廊下を歩いていると、すれ違う子達がキャアキャアと騒ぎ出す。 カリスマ性があるというか、やっぱり跡部の凄いところだ。 そんな人に私は無謀ともいえる告白をしたんだなぁ、と少し先を行く彼の後ろ姿を見つめる。 (あの告白は無かった事になってるんだろーか) 胸がツキンと痛むと跡部が顔だけこちらに向けた。 「ったく。この2日間誰かさんが先に帰っちまうからよ、この俺様が忙しい時間割いてやったんだ。感謝しろ。」 「‥‥ありがとう。」 「アン?やけに素直じゃねーか」 「あと残りやるからもういいよ」 急にセンチメンタルな気分になった私を心配したのか 「んな事できっかバーカ。」 と、言ってまた気持ちを高ぶらせるんだ。ずるい人。 「期待しちゃうからあんまり優しくしないでよ」 視聴覚室に着いてすぐに私の口からでた言葉は焦らされた証拠。涙を我慢したのは誉めてあげたい。 「アン?期待?んなの、恋人だったら優しくして当然だろうよ」 「は‥‥?」 その時の私は本当に間抜け面だったと思う。 だってその顔見て跡部が笑ったから。 「振った覚えもねーしな。」 「‥!!」 嬉しくて言葉が出ないのは初めてだった。 「早く終わらせて昼、行くぞ。まだ何も口にしてねーだろ。」 「‥うん!」 今の私にもこの時みたいな気持ちがあったら、繋いでた手を離さなくて良かったのかな? なんて馬鹿な考え。 |