戰華王の正妃
□後宮編
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「珱妃様、王から伝言を預かっております。入ってもよろしいでしょうか?」
「あら、珠翠。どうぞ、入って頂戴。」
「失礼いたします。」
「きっと、今日のお渡りについてでしょう。王はなんと?」
珠翠は、険しい顔をしながら続けた。
「はい...。内容は、『今日は忙しく、其方に渡れそうにない。徹夜になるだろうから、先に就寝しておいてくれ。』と、仰せ使っております。」
「...そう。」
花蓮は、ここ二か月で恒例となりつつある戰華の訪問が無いことを残念に思いながらも表情を変えずに珠翠と話していたが...。
「そうだわ!珠翠、今日は少しだけ就寝の時間を下げてもいいかしら?」
「...はい。ですが、あまり遅くなりすぎぬ様にしてくださいませ。
では、私はこれで。おやすみなさいませ。」
「ええ、おやすみなさい。良い夢を。」
珠翠が退室した後、花蓮は、琵琶を持ち窓辺へと向かった。